6/1  余興論

Love is blind 〜 果たして誰が言い出したのかは知らないが、『恋は盲目』とはよく言ったもので、先達の名言は聞くたび、その場面に身を置かれる度に深く感心させられる。けれども、盲目・・・、つまり判断力を失ったり、周りが見えなくなるのは何も恋の専売特許じゃない。

例えば余興。そう、結婚式の余興だ。

僕は知っている。あれは当事者の判断力を著しく低下させる悪魔のイベント。盲目という言葉が「冷静な判断力を失わせる」という意味で使われるのなら、きっと今から僕が記すこの言葉もいつか誰かが思い出し、先達の知恵に感心させられる日が来るのかもしれない。

 『余興は盲目』

僕は先週末、痛い程その言葉を繰り返した。

思えば不思議なもので、恐らく自分達もそう思われていたに違いないのに、その時は気付けなかった。それが他人事になった途端、恐ろしいほどよくわかる事になるなんて・・・。

 「なぁ?これ、おもしろいと思う?」

式を翌日に控えた金曜の夜、静岡のとあるカラオケボックスに集まった四人は・・いや、三人は呆然としていた。

 『ふんどしをして踊ろう!そして締めに新郎にキスをする!で、うみだけ口紅べったりつけてオチやってね♪』

そう言ってドンキホーテで買ってきたふんどしをしめながら、女子十二楽坊の「自由」をカラオケマシーンに入力した男の意見に呆然としていた。

 「・・・マジ?」

 「うん?なんで?駄目かな?」

今回の余興メンバーは、僕、Y君、それにMという男と、今回の余興を考えてきたRという男の四人。みんな、今回式を挙げるSという男とは高校時代に同じ釜の飯を喰った部活仲間だ。その中でRという男が余興を考えてくる事になったのだが、酷い。酷すぎる。出オチ臭がプンプンしやがる。

僕とY君は過去、余興で心的外傷を抱えている余興弱者。わかる。オチてないオチに対する周りの反応。イメージが浮かび上がる。あわわわわ・・・

 「おまえ余興舐めてるら?」

耐え切れず、Y君が叫びだした。うん、わかるぜその気持ち。

 「だぁいじょうぶだって!聞くとあれ?って思うかもしれないけど、やってみると案外おもしろいんだぜ」

 「そう言って死んでったヤツを俺は知ってるよ・・・」

自分の考えてきた余興を信じて疑わない彼を見てると思う。果たして僕らも前回までこうだったのだろうか?

  (それにしても、ふんどしって・・・ それにキスだぁ?)

そもそも、ふんどしとかそういう「下」系で笑いを取りに行こうとする態度が気に喰わない。

僕は決して、前回前々回の自分の余興に満足し
ているわけではないが、けれど、自分達なりにおもしろいんじゃないかというものを考えに考え抜いて、それでいて無難なものに逃げないよう、そこだけは注意した。無難が悪いことだとは思わないが、真に祝福してやりたいと思う気持ちがあるならば、そこは無難を選ぶべきではないと思うのだ。大切な友のため、余興
を任された人間はちゃんと考えるべきであると思うのだ。オリジナリティのある余興を考え出す事で式を祝う気持ちを伝える事が余興人に課せられた責務である、そう思うのだ。

まあそう思って突撃した我々の余興の結果は散々たるものだったけれど、姿勢は間違っていないはずだと・・・これは今でも胸を張って言える。ベターな
選択は決して悪い事では無いと思うけれど、僕らは若いのだ。挑戦する心が必要だと思う。頼んだ側だって、てんとう虫のサンバを歌われるより、ガビャピンと
ムックがスベる方が思い出深い結婚式となる事だろう。

と、僕の個人的な意見はどうでもいいとして、それにしても・・・ ふんどしにキス。低俗すぎて虫唾が走る。ガチャピンとムックが高尚とは天が裂けても思わないけど、ともかく、この提案には僕は何とも言えない嫌悪感を覚えたのであった。というか、オチを僕に丸投げしてる点に悪意すら感じる。確実にスベるじゃないか!!!!

 (・・・しかし)

しかしながら、今回の余興は僕は家が遠く打ち合わせの時間が取れないからという事で、任せっぱなしにしてしまっていたという負い目がある。明らかに時間を割いたのは彼だし、僕には正直口出しする権利など何も無い。

他の二人も同じだ。Y君は余興を考えると苦しくなるからと言ってRに任せっぱなしだったようだし、Mもやはり仕事が忙しいといってRに任せっぱなしだった。

そうなのだ。僕らに文句を言う資格なんて無いのだ!下手な事を言って

 「じゃあおまえが考えろよ!」

なんて言われても困るし、そもそも今は式前夜。今更アイディアも何も出ない以上、これでやるしかないのだ。

 (えぇい!なるようになっちまえ!!)  

こうして迎えた式当日。ふんどし姿で尻をペチペチやりながら僕らは必死に踊った。

その結果・・・
 


    (う、ウケた!?)

予想に反し、異常にウケた。なぜかわからないけどウケた。今まで貰った事のないような拍手が僕らを包む。

 (なんで?なんでよ??)

僕はこの反応に驚いた。何なんだ、この今までの僕らとの違いは?

客層の差?いや、違うね。空気が違う。じゃあ、何か?これが民衆の求める余興なのだろうか?僕らがひたすら時間をかけて綿密な打ち合わせを繰り返した余興よりも、ふんどしを締めて、前日に二時間ほど振り付けを合わせただけの踊りの方がウケるのというのか!?ガチャピンとムックがドン滑りするより、てんとう虫のサンバを皆は求めてるというのか!?盲目なのは僕だったのか!?

僕とY君はウケた喜びよりも、今までの自分達を思うと何ともいえない気持ちで一杯になった。

  「俺、くやしいよ・・・」

  「ちくしょう・・・ 客が悪いんや・・ あいつらにワシらの余興がわかってたまるか・・・」

Y君と二人、悲しい酒を飲む(結局こうなるんだなw)。

コメント

  1. kenji より:

    さらにひねって葉っぱ隊とかもよかったかも知れませんね^o^
    みんなブラックジョークは好きなんではないでしょうか?

  2. より:

    悔しいといえば
    私が先日打った花の慶次
    『斬』
    だとばかり思っていたら旧バージョン
    2万発出ている間ずーーーっと角田の歌を聞かされた
    悔しい!

  3. ペナオ より:

    よし、次の余興はガチムチパンツレスリングだ!!
    アー-ーッ

  4. 匿名 より:

    次回余興覚醒フラグキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

  5. ( ・ω・)y-~~~~ より:

    なんたる余興フラグクラッシャー!
    それですべての余興CGを回収できるとでも思っているのか?!

  6. 小島 より:

    大学時代に同じ研究室の冴えなくて有名な女の子に、男4人で襲いかかったが、その女の子が気功の達人ぽい動きをするだけで、男どもがブッ飛ぶっていう出し物をやったんだけど、全く受けなかったなぁ(*´ェ`*)
    武勇伝、武勇伝が受けてた。

  7. より:

    思い出した。
    結婚式にお酒はつきもの。
    客は無防備な状態なのだから、やはり「下」系が一番ウケる。
    悲しいかなラグビー部の後輩の余興でなんで脱がなきゃならないねん。しかも何でステージで裸でタックルやってスクラム組まされるのよ。
    酔っ払ってたからやってるほうもウホッとなって面白かったけどさ。

  8. くろりん より:

    トラウマ、さらに強く、ですね。
    大丈夫!余興うんぬんではなく、その場の雰囲気だから!
    と、苦しいフォローをしてみる。

  9. umi より:

    kenjiさん
    さすがに葉っぱ隊は無理ぽ。ふんどしでさえヘアーがチラチラしてたってのにw
    掟さん
    魚君が慶二にハマってしまいました。死ぬほど負けちまえと願ってたのに、勝率98%ぐらいです。悔しい!
    ベナオさん
    曲は当然「ドラマチック」でww
    アッー!!
    名無しさん
    まだ覚醒とちゃう!まずは暴走からや!!
    ( ・ω・)y-~~~~ さん
    全部集めると余興スペシャルムービーとか流れ出すんすかww
    見たくないww
    小島さん
    その気功ネタ、配役とかも嫌いじゃないですけど確かに結婚式の余興でやられても「はあ?」ってなりそうですねww 二次会とかなら良かったかもしんないっすね^^;
    んで・・・そう!そこで武勇伝とか受けるとガックリくるんですよ(´・ω・`)今ならオードリーとかやれば無難かもしれませんが、そこに逃げたくない!!
    まさん
    体育会系ならではですよね。僕らもモロ体育会系の部活だったので今回何とかなった気がします!裸・・強いんだなぁやっぱり(´・ω・`)確かにやってる側もけっこう酔ってテンション上がってるからおもしろかったりしますよねwうちらもそうでした。
    でも、魚君の式では意地でも脱がない事はY君と堅く誓いましたよ!
    くろりんさん
    今回はトラウマってか、自分達を否定されたって感じで何といっていいのか・・ともかく、傷ついたのは確かですw
    雰囲気が全てなのは同意なんですが、そもそも雰囲気良くするためにうちらもコスプレしてましたしねぇwある意味で裸と何ら変わりは無いのでハンデはなかったと思うと・・うわあああああああああああ
    もっと・・もっとフォローしてくれ・・