スーパーで買い物をしていると、ふいに声を掛けられた。
「ねえねえちょっと。」
「・・?」
聞き覚えの無い声もそうなのだが、知り合いがほとんどいない街で声を掛けられる事事態が滅多にないわけで、そもそも僕に声を掛けているのだろうかとそんな根本的な疑問すら抱えながら声のした方へと振り向く。すると、
「はいっ、ハンバーグ!」
右手にはつまようじ、左手は添えるだけ。今にもはいっ、あ~ん!なんて言いそうなポーズで最高の笑顔を僕に向けた声の主は、あろうことか実演販売をしているオッサンだった。
「いや、いい「あのね、違うの。」
別にハンバーグを買うような気分でも何でも無かったので「いや、いいです」と断ろうとした僕の声を遮ってオッサンは強引に会話を進める。
「今日のはね、すごくおいしいから。」
「・・・いや「大丈夫、おいしいから!」
「・・・」
やたら強引な手法にたじろぐ。少なくとも、僕はここまで強引で馴れ馴れしい口調の実演販売には出会った事がない。
そもそもまず、何が「あのね、違うの」なのだろう?
僕が彼の調理するハンバーグに否定的な意見を述べた後ならわかるけど、一言も喋っていない状態の僕に投げかける言葉としてはいささかおかしな言葉じゃないか。
(うるせー、俺は生餃子が食いたいんだ。ハンバーグに興味はねぇ。・・・それに、どうせ大してうまくねぇんだろ)
まさか僕がこう思ってると先読みしての、「あのね、違うの・・・今日のはね、すごくおいしいから!」なのだろうか?
しかも、「今日のは・・・」って言ってるトコから察するに、僕が過去にハンバーグで嫌な思いをしたことまで読んでるのかもしれない。僕が一番最近食べたハンバーグ、焼きながらニコニコ動画を見てたら焦げちゃってとても食えたものじゃなかったって事を知っているに違いない。そして焦げたのはハンバーグが悪いんや、ワイには何の責任もあらへん!って思って未だに半年以上ハンバーグ不買運動を続けてるって事まで知ってる上での発言に間違いない。
(くっ、そこまで読んでるなら俺が今考えてることもわかるだろ・・・)
けして買うまいぞと、まだ不買運動は続いてるんだぞとオッサンに目で訴えかけ、僕は踵を返して冷凍餃子のコーナーへ向かうのであった。
帰り道、そういえば昔から心を読める人物が近くにいる事を想定して
(ふっ、わかってるんだぜ?)
みたいにエロい事を考えるのを中断して『その人物』に話しかけていた日々を思い出し少し恥ずかしくなる。少なくとも、あのオッサンは違っただろうに。
コメント
台風対策すべし!ロウソクと縄用意すべし!(´・ω・`)
今流行の事故物件サイトで検索してみた?
きっとそのおっさんは…後一袋売れば…リストラを避けれたんですよ!
最近はいつ誰が首になるのかびびる毎日(A`)
( ・ω・)y-~~~~さん
事故物件サイト、九月の後半ぐらいに記事を見て確かめようとしたのですが、確か僕が見たときには既に見れなくなってたような・・・。
台風は・・・楽しみです(゚∀゚)
uさん
ヒント:ニートはクビにならな(ry
ってか実演販売のオッサンはそんな切迫した状況だったんですかww しかしどうしてでしょうね、実演販売って昔に比べてずいぶん魅力が無くなったというか、大人になった証拠なのかなぁ(´・ω・`)
この話自分にとってツボでしたwww
食べさせたくてしかたないんだろうけど…
馴れ馴れしすぎでしょうw
・実演販売のバイトは時給制
・販売個数による歩合は通常ない
・調理などはその担当者が実際に行う
というのが僕の知る実演販売なのですが…
これって学生さん(主に女子)のバイトだと思ってましたw
なので、このおっさんは
・基本的に人がいい
・昨日実演用に作ったハンバーグはやや失敗作
・今日は頑張った結果自信作となり誰かに食べて欲しかった
・お?こんな時間に男1人でスーパー…腹減ってんだろうなこいつ(´・ω・`)
・俺の自信作食わせてやるよ~~
ってことでどうすか??
名無しさん
すごいですよね。そういう商法なんでしょうかね(´・ω・`)? パンチパーマかけたオバサンならたまにこういう人いるけど、オッサンでこれは初めてです。
試食したら押しが凄かったんだろうに・・
やす@豊中さん
>・基本的に人がいい
>・昨日実演用に作ったハンバーグはやや失敗作
>・今日は頑張った結果自信作となり誰かに食べて欲しかった
>・お?こんな時間に男1人でスーパー…腹減ってんだろうなこいつ(´・ω・`)
>・俺の自信作食わせてやるよ~~
この項目見てると、オッサンがやけに可愛いく思えてくる不思議wwww