これまで何度か触れてきたが、伊藤計劃という作家の小説がとても面白く僕は好んで読んできた。
この人はSFという分野で華を咲かせた人なのだけど、僕は今までちゃんとしたSF小説というのはJPホーガンの「星を継ぐもの」から続くいわゆる「巨人たちの星」シリーズしか読んだ事がないので、残念ながら他と比べる事が出来ない。
「星を継ぐもの」は見ていてとてもワクワクする感じで、先が気になって気になって止められない。これこそがSFの魅力なのかと感動したものだが、この伊藤計劃という作家はSFってもっと堅っ苦しいものだと思っていた僕の概念を打ち崩してくれた。
デビュー作の「虐殺器官」、そして設定を引用しつつさらに未来を描いた「ハーモニー」。伊藤計劃さんの中ではこれに続く三部構成となるはずだった作品を書き終える事が出来ないままガンで急逝してしまったが、友人であり同ジャンルで名を馳せていた円城塔という作家がプロット(設定集)を引き継ぎ、合作として「屍者の帝国」という最終章となる作品を書き上げている。
先日、それを読み終えた。
感想は…
(UMMMMMMMM…)
決して円城先生を貶めるわけではないが、人が変わるとやはりというか全くの別物なんだな、と。所々でこれまでの二作品でテーマとされてきた、物語の核となり得る死生感のようなものは見られるものの…う~ん。
正直、読むのに疲れた。骨が折れた。普通このぐらいの単行本だと風呂で毎日一時間、一週間ちょこちょこ読み進めてれば終わってしまうというのに・・・これはなんと四週間もかかってしまった。なんかいちいち話が難解すぎるというか、物語に入っていけなくていっつも寝落ちしてしまうのだ。そうして寝落ちした後読み直そうにも、まるでそれまでの展開が頭に入って無い事に気付く。一つに登場人物の名前がカラマーゾフだのヴァン・ヘルシングだの、ワトソン…ジョン・ワトソンだの、有名小説の登場人物達の名前を拝借している部分にもあるかもしれない。読者サービスのつもりなのかもしれないが、なんていうか…そういうのは望んでなかった。
無論僕の頭の問題かもしれないし、しかし先の二作品ではこんな事はなかった。むしろ読みすぎてのぼせるぐらい物語に入り込んでいけたというのに…これは物語の難解さというのもあるが、文章のリズムのような部分も大きい気がする。
楽しみにしていた作品だけに正直ガッカリである。読み終えた今も大して何が伝えたかったのかよくわからない。次に読んでもわかる気がしない。これが難なく頭に入っていった人に会ってみたいぐらいだ。
ちょっと前に白川道先生が亡くなった事により「病葉流れて」シリーズがもう読めない事を嘆いたものだが、シリーズものを他者が引き継ぐ事によってこうなるのであれば、いっそ続かない方がマシだと思ってしまう。
多分、良すぎても何かしら文句を言うだろうし駄目なら駄目でこうなる。死者はどうしたって美化される。それを引き継ごうというのだから、ありがたいが担い手にとってはハードルが高すぎる作業だろう。思い出は思い出のままが一番なのかもしれない。
…と、愚痴ばかりじゃアレなので一度円城塔さんの別の作品を読んでみないとなぁ。
グルリと変わって今度は漫画。
『その「おこだわり」、俺にもくれよ』 清野とおる
以前、ラジオでこの作品のタイトルを耳にして気になっていたのだが、レンタルコミック屋にあったので借りてみた。そのラジオのDJはマンガ好きらしくよく批評をしているのだけど、なんかすごいニワカっぽいので毎回ニヤニヤしながら聞いていて、その人が確かこれを薦めていた気がする。
(どれどれ、どんなもんかね)
…という、嫌らしさ全開の動機で借りたわけだ。
(この絵、どっかで見たような気がするけど思い出せないなぁ)
どこだろ。ホラー漫画っぽいけど、いや、ファミ通に吉田戦車と一緒に載ってたっけか?作者の名前に覚えはないけど、絵には何と無く覚えがあるが…思い出せない。
「とりあえず読んでみ。最高にナウい漫画らしいぞ」
「えー(‘A`)」
例によって妻に先に読ませてみる。毒見役というか、世間一般の目として貴重な意見をくれる。前まで魚君の役目だったが、妻も妻でなかなか良い一般感を持っているのだ。さあ、その感想俺におくれよ!
「絵が無理」
「だろうな」
…そのコメント、やっぱり以前魚君に何かの漫画を見せた時同様の事を言ってたっけなw感性が似通ってるのだろうか?そして俺はそういう相手に惹かれるのだろうか^^;
それはさておき、この漫画は妻いわく絵とテンションがウザすぎて一話読んだら後は読む気がしなかったそうな。
(絵はともかく、テンションかぁ・・・)
謎に満ちた感想に若干楽しみを覚えるが、読んでみよう。
(なるほど、確かにウザいw)
この漫画はタイトルから想像つくように、その人が持っている「こだわり」を取材していくルポ漫画。ハッキリ言ってこんなの題材思いついた時点で勝ちだ。面白くないわけがないが…
(ツッコミがちょっとウザいが、段々クセになってきたぞw)
絵は…まあ、駄目な人もいるかもなって感じだが、僕は好きだ。
内容もやはりというかちゃんと面白いし、一話に一人ペースで「おこだわり人」が登場するわけだが、白湯にこだわる人、内ポケット依存性の人など…ありそうでなかった漫画。すごく読み応えがある。
中でも感動してしまったのがこの人。
「帰宅」にこだわる人。
駅から家までの15分ほどをいかに楽しくスリリングに過ごすか…という観点にこだわる人なのだが、「1度も通った事のないルートを通る」や「大声で歌いながら人と会わないスリルを楽しむ」、それから「前を歩く人と脳内マラソン大会」をするなど、誰もが一度は考えそうな事だけに飽き足らず…
「改札口からドアまでの歩数を前日と合わせる」
→半年ぐらいかかって達成したらしいw
『朝、出掛けに鍵をそこらの草むらに隠して行き、帰りに鍵がそこにあるかどうかをドキドキしながら帰宅する』
→合鍵は持たないw
など、「さすがはおこだわり人を名乗るだけある!」という発想の数々に感動してしまった。なるほど、そこまでは普通は出来ない!というネタがちゃんとあるんだなぁ。
(俺にはそういうのあるのかな?)
考えてみるも、取材されてしっかりと自称できる「おこだわり」というのはほとんどの人が無いだろう。自覚できるって時点で既になかなかのものだが、自分には今の所そこまでのものは無さそうだ。そういう意味でも、他人のそういう話を聞くのは面白い。
よく本やドラマで「これを見て何が得られるんだ?」みたいな感想を持つ人がいると思うが、この本に限って言えば『人生を楽しく過ごすコツ』みたいなものが得られるんじゃないかと思う。こだわりとはその人だけの楽しみみたいな部分が確かにあって、そういうのを日ごろから様々な場所に持っていられたらきっと人生はもっと楽しい。
「これすげー面白いぜ?ちゃんと読んでみ」
「えー(‘A`)」
読んだ上で妻に再度薦めてみたが反応はイマイチだ。こういう時絵って本当大事だなぁとつくづく思う。
なんでも今度、この本を元にした「そのおこだわり、私にもくれよ!」というドラマが始まるそうだがそっちなら見るのだろうか?
孤独のグルメも最初漫画で読ませたけど全然で、後に松重さん主演のドラマ版が始まるや否や大ハマリしてたしなぁ。
(漫画が受け入れられなくて、ドラマでヒットするとちょっとモヤモヤするぜ)
なんて、これも一つのこだわりなんだろうかね。ドラマは地雷臭がするけど、漫画はオススメです。
コメント
最近まで「岳」というマンガを読んでいて、この前、読み終わったんですけど、読んでる時に一人で「えっ?」って声が出ちゃいました。
こういう終わり方しちゃうんだ・・・と、ちょっとテンションダウンしてしまいまして、ネットを見てみたら同様の反応をしている人が多かったです。
前任者の人は死んでないですけど今のパチ&スロのケンシロウの声はホールで聞いてても何にも感じなくなりました。ラオウは声変わりして異和感が凄いですけどw
漫画から入ってアニメ化されるのは苦手ですけど、アニメから入って漫画を読むとアニメがよく作られているなと感じる不思議。
アニメから入ってハマったのは「クロスゲーム」と「ちはやふる」。
ここ数年は全く知らない漫画が増えたとつくづく感じます。
会社の上司は自他ともにこだわりマンなのでいつも「お、こだわりっすかw」って聞くと、エヘヘ(ドヤァと返してくるので面白いですw
僕自身はカップラーメンのお湯は線より5㎜下とか打ちにいく時にはタバコを新調するくらいですかね
兄さんのおこだわりあったら教えて下さい!
確かに漫画において絵は大事ですよね。
ストーリースッカスカでも画力があればなんとかなっちゃう事もあるしw
清野とおるの絵はまあ確かに一般受けはしないだろうけどヤンジャンか何かで連載してた時にたまたま読んで結構面白かった印象があります。
押切蓮介の漫画にも親友という事でちょこちょこ出てきてたので、ついに清野とおるがブレイクする時が来たのかと思うとちょっと胸熱です。
ハイスコアガールの連載再開マダー?
映画なんかはともかく漫画、お笑い動画に関してはつよく勧められて面白かった試しがないですw
へぇ、最近のトレンドとか全く知らないので初見です。
拙者、ヤマトで8連単、隣のオバチャン都合120連(*´•ω•`*)…
パチンコはインチキ
>>三重県人さん
岳って読んでみたいと思いつつ中々手が出なかった作品なんすよ。その紹介の仕方はなかなかそそるなー(゚∀゚)!!
長寿作品の声変わりはどうしても違和感覚えちゃいますよね。最近のは特に、初めからキャラのイメージに合った声を選んでくれてるようで…昔のアニメ化した際の「あれ?」って感覚、また味わいたいなーw
>>のっぽさん
>漫画から入ってアニメ化されるのは苦手ですけど、アニメから入って漫画を読むとアニメがよく作られているなと感じる不思議。
あーwすごいわかる。僕はさらに映画から入って原作小説読むってのが大好きです。この部分をどう原作から映像に表現したんだろ?みたいな
クロスゲームってあだち充のやつですかね?あだち作品は大体惰性で読んでるけど安定してハズレないからなー。いい意味でも悪い意味でもwってあれアニメ化してたのか。。
漫画多すぎるし知らない漫画だらけですよ。
>>ヨシホイさん
エヘヘって、何その可愛い上司はw
僕のこだわりは…MT車時代からの癖なのか、AT乗ってても速度の上がり際に一旦アクセル離してギアチェンジの間を取る事です。
…って言ったら妻に「それはただの癖」だって言われました(´・ω・`)
何気にパッとこれだ!って言えるような「意識してやってる」こだわりって無いもんですな。無意識だと癖だし。
>>椰子さん
へー、ヤンジャンで連載してたと。んで押切作品にも出てんすか?あの人の作品は大体見てるからそこで見たのかもなー。ドラマでブレイクするといいっすね!
押切先生はなんかhahaって新作単行本出てましたし、ハイスコアガールも早く連載再開して欲しいですね><
>>ドニートさん
強く薦められると無駄にハードル上がっちゃいますからねぇw でもやっぱ大勢の人が薦める作品って何かしら光るところがあるし満足する事が多いですよ
>>kenjiさん
「都合」ってのがわからんが、120連とか見た事ないわ… さすがにそこまで行くとだるいし怖くなるでしょうねw
勝つと甘い、負けるとインチキ。素晴らしい!
「岳」を、もし読んだらumiさんの感想聞かせてねん。
イエス!サー。こそっとコメで三重県人さんに向けて書きますよw