ピンポーン!!
(おっ、キタキタ(・∀・))
十九時を十分ほど回った辺りで鳴り響いたインターホン。僕はそれを十九時から二十一時の範囲で指定しておいた宅配便が届いた知らせと思い、小躍りしながら玄関へと駆け寄る。
今宵届く荷物はパソコンである。まさに今これを書いているおニューのパソコン。
つまり、そう。これはパソコンが届く前の、まだ暇を持て余している状態の僕に起こった出来事である。
「ごくろうさまで・・・ん??」
ドアを開けるとそこには、想像していた大荷物を抱えたアンちゃんではなく、
「あっ、こんばんわ!わたしたち、“なんたらきょうかい”という者でして、もしよろしければ本日アンケートの方にご協力頂きたいのですが…」
「はぁ」
そこには、なんとも垢抜けない感じの若い女性二人組の姿があった。なんたらきょうかい・・・ 団体名を聞きそびれてしまったのだが、とりあえず「きょうかい」という単語だけはわかって、しかしそれが「教会」なのか「協会」なのかはわからない。
ただ、何かこの二人からはとてつもなく違和感というか不自然さというか、とにかく不思議な印象を受ける。無論、第一感では宗教臭さを感じたのだが、よくよく見るとそれ以外の何か、そう、例えるならば僕の思い違いでなければキャバクラ的な「媚び」のようなものを感じるわけで。
そのせいで宗教ではないのかな?という風に思い直しさえもするぐらいに。
ややもすればどこかの大学生サークルがアンケートを取りに来たと言っても信じてしまいそうな若さ溢れる目の前の女の子。年齢は二十歳前後と言ったところか…と思えば、よく見るともう一人の女性はそんな事もなく、一言でいえば東京ラブストーリーにでも出てきそうな、そんな90年代ドラマ風の古臭さを感じさせる出で立ち… 年齢は三十路に届くかどうかという微妙なラインか?
言い方が悪いが、片方の「垢抜けない」という印象に対し、もう片方の女性には「古い」という感想しか見当たらない。なんとも不思議なコンビである。
おまけにこの東京ラブストーリー女、彼女はドアの奥から半身だけを覗かせ、さらに上目遣いでひたすらこちらを見つめてくるという「ブリっ子」(死語)もまっつぁおな態勢を終始崩そうとしない。
(なんだかなー。宗教の勧誘にしちゃあやけに・・・)
とある宗教団体では、確かに美人の女性、かわいい女の子等を連れて話を聞きやすくして貰うというマニュアルがあると聞くが、果たしてこれもその一種なのだろうか?
僕はパソコンが無くて暇だという事もあったし、何よりこの違和感溢れる空気に好奇心を持ちとりあえずは話だけでも聞いてやろうという気になった。形だけで言えばまんまと向こうの策略に乗せられてしまったという事にもなるが、実際そうなのだから仕方が無い…。
「わかりました。じゃあその紙に書けばいいんですね?」
垢抜けない子が持ってるアンケート用紙に目をやりそう言う。
…すると一瞬二人は目を合わせ、「キャー><!」みたいな黄色い声を上げた後、
「ありがとうございます!せっかくだから、インタビュー形式にして貰っていいですか!?」
「えっ?ええ、別に構いませんが・・・」
(なっ、なぜわざわざ??)
やはりここでもキャバクラ的な「媚び」を感じずにはいられなかった。違和感、そして不信感。しかしそれ以上の好奇心。それらを感じる間も無く間髪いれずに質問が飛んできた。
第一問。いきなり衝撃的だった。
「ではまず聞きます。あなたは現在独身ですか!?」
「はっ??えっ?独身???そこから???」
あまりに予想の斜め上からの質問に、情けないながらも動揺しまくり。東京ラブストーリー女は相変わらず今にも「か~んちっ!」とか言い出しそうな雰囲気で上目遣いだし、垢抜け無い子(20)は天真爛漫、無垢な瞳を僕に向けたまま回答を待っている。
「えっと…、それ(独身)がどう関係してくるのですかね^^;?」
「あっ、ハイ!私たちは青年部の者でして、独身男性の方を対象に活動しているんですよ」
「ほほう、青年部。なるほど!」
(答えになってねえよ・・・^^;)
なにやらこの時点で宗教というよりは婚活セミナーみたいな所なんだろうなぁと思い納得して適当に頷いてはみたが、後ほど調べてみるとこの印象は的外れでは無かったらしい。僕が感じた「媚び」の空気も、僕が若い男性だったということで向けられるべくして向けられてたものなんだなぁと今なら納得である。
「ご職業は?」
「現在悩んでいる事は?」
「今後の展望は?」
「結婚願望は?」
この後も矢継ぎ早に質問が飛んでくる。僕はほとんど適当に答えるが、その都度
「へぇ・・・すばらしいですね!」
だの、
「すごぉーい!!キャッキャウフフ」
みたいな、もはや何かこう…おだてておけばいいだろ。どうせこいつ馬鹿だし。みたいな、そんなテンプレ的な受け答えがドシドシ飛んで来た。
(何がすばらしいですね!だよ。てめえは俺の空の一十三さんかい!!)
僕はキャバクラでもそうなのだが、この手の煽ては逆に醒めるクチ。もう少し突っ込んだ煽て方ならば違ったかもしれないが、今回のようなとりあえず煽てておけ的なのは全然気持ちよくならない。
(こいつら俺がこれでいい気分になるとでも思ってんのかなぁ??)
確かに僕はこのとき若干ニヤついて質問に答えていた。このころになると東京ラブストーリー女も自分らの嬌声が僕にウケてんだと確信せんばかりにドアから身を乗り出し会話に加わってくるようになっていたのだが、違うぞ??おまえら、勘違いすんなよ??
僕はただ、奥にいる魚君が今の会話を聞いてどんな顔をしているか想像して笑いを堪えきれなかっただけである。(魚君は奥で笑い死にそうになっていたらしい)
果たしてそれが二人の目にどう映ったのかはわからないが、何か相手もテンションが上がったらしく仕舞いには自分語りが始まってしまった。僕に悩みが無いかと尋ねていたはずなのに、いつの間にか僕が悩みを聞く側になっていた。
「・・・まあ、生きてりゃ色々ありますよ」
僕はそろそろパソコンが届く頃だなぁなんて思いながら適当に答えていたが、相手からすればもはや完全に自分たちの思想に共感し始めたカモに映った事だろう。
「あの…もしよろしければ、これから私たちと一緒に教会へ行きませんか?」
「へっ??いまから??」
このとき時刻は20時過ぎ。またも予想しないところから飛んできたパンチをモロに喰らってしまい膝が笑ってしまった。
「ええ、私たちもちょうど帰る所ですし^^隣の駅ですからすぐですよ♪」
「あー、せっかくのお誘いですがこれから宅配便届くんでちょっと動けませんね」
「そうなんですかぁ。それっていつ頃届きます?」
「そろそろだと・・・」
(あっ)
しまったと思った。今すぐに宅配便が来てもおかしくない状況なのに、実際来てしまったら言い訳が立たなくなってしまう。
焦っていたら、さらに焦りを助長する提案がなされる。
「じゃあ明日はどうです!?」
「(;^ω^)え、いや・・・明日はちょっと」
明日が駄目なら明後日。明後日が駄目ならいつがいいかと、執拗な勧誘が始まった。
「ちょっと仕事が先方の予定に合わせて動く感じなんで、」
結局この言葉で予定を組む事は避けられたが…
恐怖はここから始まる。
ピンポーン
ピンポーン
これより連日、昼夜を問わずして訪問が始まる事になる。面倒臭さ半分、怖さ半分で出なかったが、窓から帰る様子を窺うにどうやら間違いなくその手の人々が来ているっぽい。特に、垢抜け無い子さんは携帯電話に自宅の住所まで書き綴った手書きの手紙も送ってくれたし。・・・って、これは誘っているのだろうか?
それはともかく、手紙に書かれていた単語を調べるとそれまで曖昧だった彼女らの所属する団体への答え合わせが出来た。「婚活セミナー」…僕の感じた印象はあながち間違いではなかったようだ。
「統一教会」
なんたらきょうかいとは統一教会の事だった。数万人規模の合同結婚式で世間の注目を浴びたあの団体である。合同結婚式=統一教会という事を僕はこれまで知らなかったが、しかし合同結婚式のニュースについては幼心に何かとてつもなく不思議に感じた記憶がある。そうか、あの団体だったのか!
合同結婚式だけでなく、世に「マインドコントロール」なる言葉も浸透させた勧誘方法は今も健在なのだろうか?興味本位でその洗脳っぷりを試してみたい気もするが、さすがにプロ相手にしちゃあMLMのときのように遊び半分ではいかなくなるし怖いところ。このまま関わらずにいるのが賢明でしょうね。
しかし調べれば調べるほどよくない話ばかりが出てくるこの団体。特に、日本人女性がターゲットにされてるなんて記事がわんさか出てくるのだが… 彼女らは外国人信者獲得のための結婚相手として特に需要があるという話なのだが、実際ネットに溢れる暴露文が本当だとしたらとてもじゃないが許しがたいことであり、真偽はともかく、この手の話が出てくる時点で既に問題でもある。東京ラブストーリーさんはともかく、垢抜け無い子さんについては何とかならんもんかなぁ。
マルチとかもそうなんだが、こういうのに関わる人らは自分で納得してやってるため始末に負えないし、たいてい周りが何をしたって余計なお世話になってしまう。垢抜け無い子さんも、昔見たマルチにはまった同級生によく似ている。いや、若さと垢抜け無さという点からすれば同級生以上に憐憫の情が芽生えるというものである。例えお節介と言われても、関わってしまった以上見て見ぬフリはしたくない。
僕は人助けという程高尚な目的ではなく、興味本位でこの先を見てみたいと思うのだ。
住処がバレてる事と、偽名を魚君の名前にしてしまったことがここで若干悔やまれるが、なあに、かえって免疫がつく。
何とかなりそうなら何とかしてやりたいし、何とかなりそうもなくても何とかしてやりたいなぁ。
コメント
2012・12・21に人類は新たなステージに行くらしいから、宇宙人が侵略してくるんじゃないかな?
オッキーさんがパパンに呼ばれて富士の演習場から巨人に乗って出撃する日も近そうですね!^^
ちび丸子の友蔵が3代目になるそうで・・・
偽名が魚さんってとこでやられましたwww
ヒドスwww
無垢な少女が不憫。気持ちはわからんでもないですが、やめといた方がwww …ほれちまったのかい?
『マインドコントロール』だの危なそうな単語が出てきてますが、大丈夫なんですかね?
まだホールの『サクラ』の方が安全そうに思える。
ちょっと本気で心配になってきちゃったんですが・・・
カルト宗教に関わるのは百害あって一利なし。
祈るようになったら人間も終わりって話だと、兵藤会長もおっしゃってますので止めといた方がいいですよw
初めましてumiさん!
いつもブログを楽しく拝見させてもらってます!
ちょっと長くなるけど実体験です
昔某宗教団体の一員と関わったことがあります。
その一員ってのは中高時代の友達でした。
5年ぶりぐらいに連絡があって「会って遊ぼうよ!」ってことで会ったら早速勧誘w
スパッと断るのも気が引けたので一度だけ会合に付き合うという約束をしました。
その時は怖いもの見たさが多少あり、すぐ断ればいいやという軽い気持ちでした。
会合は皆涙を流しながら某教祖を崇拝する異様な光景でした・・・
即断って関わるのをやめようと思ったのですが
昔の友達なので僕の住所も知っていたから何度も何度も連絡も無しに家に訪問し
「このままじゃ君の未来が駄目になる!僕にはそれがわかるから誘ってるんだ!」
「数年後事故で重体になるよ!」etc.
正直正気とは思えずまともに話が通じませんでした。
関係を絶つのに相当苦労しました。
umiさんも住所が割れていてどんどんエスカレートする恐れがあるので心配です・・・
ブログのネタになるけど関わるなよ!いいか絶対だぞ!
>>( ・ω・)y-~~~~さん
げ。また友蔵じいさんの声変わんのか・・って仕方ありませんね。ドラちゃんもカツオも友蔵も、未だに馴染まん。
>>虚無さん
しかも字が汚すぎて届いた葉書はさらに別の名前になってる罠w某傾奇者と同じ名前のはずなのに蔵次さんと呼ばれる事になりそうです。
>>しっちょさん
端から見るとそうとしか思えないんでしょうがwそれは無いかな^^;マジレスするとですね、手書きの手紙が某僕の大好きだったあの人を彷彿とさせる感じで(ry
まー不憫半分好奇心半分って感じっす><
>>0.34さん
僕より魚君の心配してやってくださいw ってのは冗談ですが、もし何かするとしても初めに話が通じそうかどうか確かめてから行動に移すと思いますし、僕も面白いと怖いの分別をつけたいので細心の注意をはかりますよー。さすがにセミナーとかは行く気はないし、自分の土俵で勝負できるなら話ぐらいしてみようかな程度です、今んとこ
>>椰子さん
ご心配&ご助言ありがとうございます。僕としてもまだ行動に移すと決めたわけではありませんが、しかし・・・「しかし」!って思いがあるのも事実。どう転んでもいい経験になると思うんだよなー(;^ω^)
>>SKRさん
初めまして!来ましたね、経験者は語るコーナーw
これって統一教会とは別のところですよね?けど、どこも恐らくはこんな感じと聞きます。集団心理を利用してマインドコントロールするそうですね。
僕はこのような大勢に囲まれる相手のグランドには立たないとは決めてますが、住所が割れてるってのはやはり相当面倒くさいんですな('A`) さらに友達ってのがSKRさんの場合は深刻か・・・ 僕の場合は実家は知られてないし最悪引っ越せばいいんだけど、よく考えたら同居人がいるんだったw 何かするなら一応こいつの了承も得ないとなぁ・・・
もし何かするにしても垢抜け無い子さん個人との話しにするつもりでして、宗教団体の的にはされないように気をつけるつもりですが… まあ、続報(があれば)期待して待っててくださいな^^
アドバイスありがとうございます!と書こうと思ったらどう見ても押すなよ!押すなよ!じゃねーかww
金スロ行ってきてみてよ!^^
興味本位で見るぐらいはしてみたいですけどねー。そこらへんオープンなんだろうか。会員登録必要とかならちょっと微妙だなぁ。。どうせ長くは続かんだろうし^^;