10/19  町長さん、ここは出禁でどうですか

年末から近場で大きめの工事が行われるらしく、住民説明会なるものが開催されるという。

 「あんた行く?」
 「当たり前だろ(・∀・)こんな面白そうなイベント!」

住民説明会。前から一度行ってみたいとは思っていたのだが、いかんせんアパート暮らしじゃ声すらかからない(回覧板にも書いてあったの見たことない)、下手をすると存在すら知らされることのない都市伝説であった。その土地に根付いた上級町民()だけが出席できる選ばれし者の宴w

例えばパチンコ屋建設に際する住民の反対運動などはよく聞く話だ。大きなマンションが建つ際の日照権等の話も耳にする。基本的に住民側の「反対」という行為でしか問題は起きないため、普段近くに住んでいる正体のわからない住民たちの眠れる野性とでも言おうか、何かしら面白い物が見れないかなという期待はある。

 「公共工事なんだから反対も何も無いと思うんだけど…」
 「それはどうかな…どこにでも常識を超えた奴ってのはいるもんだからな」

妻とそんな会話をしつつ会場に向かう。平日の19時、公民館。リアルだ。圧倒的地元感漂うシチュエーションに身震いする。そうだ、俺はこの町の住民なんだという感慨に耽る。


 
(あれ?思ってたより人少ないな)

会場に入ると参加者はひい、ふう… 二十人にも満たない。あとで聞いたところ、やはり知らされていない家庭が多かったらしく、ウチが説明会の存在を知れたのも工事に際して会社の土地を一部貸す関係だったらしい。いいのかね、全町民が工事概要ぐらいは知る権利があると思うんだが…

それはともかく、声掛けすら満足に行われていない説明会。業者側にも特に緊張の様子は見られず、無難にこの場を流しておしまいという弛緩した空気がどこかしら感じられる。

 “20分ほどで終わります”

ホワイトボードに書かれたその一言が全てを物語っているようだった。当日の進行が書かれているが、あくまで工事の説明がメインで一応質疑応答の場も設けていますという風に書かれていて…

 (なんだ、やっぱりこんなもんか(´・ω・`))

諦めかけていたその時だった!

工事の説明が一通り済み、予定通り20分弱。何か疑問に思った点などはございますか?無いのであれば・・・ と、形だけの進行が執り行われようとしたその刹那、ヤツは現れたッ‼

 「ちょっといいですかー?」
 「え?あ、どうぞ、そこの方」

徐に手を挙げると同時にヤツはこう言った。

 (おいおいおいおいおい(・∀・)!!!!)

どよめく場内。慌てふためく工事業者。湧き立つ俺。

そんなのおかまいなしとばかりに段々と声のトーンを荒げる男。

 「河川を暗渠化すると言いますがね、この川には蟹もいる、魚もいる。昔は蛍だっていたんですよ?野花だって咲いています。それをアンタらの都合で…一方的に殺すわけですよね??それら“命”の扱いについてどう考えているかお聞かせ願いたい」

 「え…あ、そうですね…私どもとしましては

 「私はね、十年間ゴミ拾いをしているんですがね、そこの川もね、団地の住人がゴミを捨てていくんですが私は辛いですッ…この季節になると草が生い茂って」

 「え…と」

 (!!???)

興奮してしまったのか、男は質問を投げかけておきながら回答を待たずに自分語りを始めてしまった。段々と話が別の方向に逸れていき、ここらへんでみんな「あれ?」という雰囲気に…

 (きたきたきたー(・∀・)ー!)

ただ一人、僕は興奮して男の発言をメモし始めたのだがw

 「そもそも大雨で冠水した地区がありましたよね?市の税金で11億ですよ、予算がうんたらかんたら… 何年も前から言われているのに一向に改善される動きがみられませんよ。11億ですよ、11億」

 「は、はぁ…その工事は今回の件とは…

 「静岡の川の流れってのをね、私個人的に調べているんだけど、ここに流れている川と静岡市の中心部に流れている川では…」

 「え、えー^^;;;;」

この頃になるともう周りは苦笑いを禁じ得ない状況で、よっぽど最初の「命」に関してだけの質問ならば筋が通っていたように思えただけに残念だ。回答を待たずに言いたい事だけ捲し立てる様はそもそも会話を成り立たせようという気持ちも無いように思える。

 「あいつ前回もあんな事言ってなかったっけ?」
 「なに?前回もいたの?」

隣の方からオッサン方の会話が聞こえてくる。どうもここらへんの名物クレーマー(?)らしく、隣の区の説明会で同じようなことを言ってたようだ。住んでる区が違うらしいがよく受付で弾かれなかったな^^;

 「ちょっと、その辺で…」
 「はーい、終わります」

結局、町長が止めに入ったらあっけなく男は退場していき、何一つ話は進まないままキチガイ劇場は幕を閉じた。その後説明会は当初予定していた通り滞りなく終了。まるでアレが一夜限りの幻のように無かった事にようにされてしまっていたw

だが、僕はとてつもない満足感に浸っていた。よっぽどそこらの住民を捕まえて今眼前で起きた出来事について、いいものを見れましたね!と語り合いたいぐらい。

 「どうだった?」

帰宅した妻に満面の笑みで今起きた出来事を語る。行ってよかった、素晴らしいものが見れた。こんな面白いものを今まで知れなかったなんて… 家を建ててよかった(´;ω;`)ウッ…

コメント

  1. kenji より:

    あんたも大概よね、と嫁は思うのでした

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