「いつもありがとうございます~」
(…ッ!!?)
とあるラーメン屋でのヒトコマ。お会計の際に主人が僕にこう言ってきて心底驚いた。前に会計していたアンちゃんには言ってなかったはずだぞ??
(するってーと、するってーのか??)
僕のささやかな野望の一つに「大将!いつもの」と言って常連面してみたいという項目がある。馴れ合いが嫌いな僕にしては珍しく馴れ合いを求める矛盾した願望。
別にその先を求めているわけではない。ただ、言ってみたい。言ったら、受理されたら、意思の疎通が出来たらどんなに気持ちがいい事だろうと、漠然とした思いが僕の中でそのやり取りを神格化させている。
その昔、僕はとある坦々麺屋にニ年以上通いながら虎視眈々とその機会を窺っていた。
「ドラゴン坦々、大盛りちぢれで!」
毎回同じメニューを同じ頼み方でお品書きを見ずに呪文のように唱える。決して気さくに話しかけたりはしない。殺伐とした空気の中で、しかしその中で確かに育まれる絆。そういうものの先にある「大将、いつもの!」を僕は求めていたのだ。馴れ合いの先にある「マスター!いつもの」とは天と地ほどの差がある。例えるならば、ライバルキャラが「ふんっ、おまえを倒すのは俺だからな!」というアレに近い。究極のところ、殺し合いの中で生まれる信頼関係こそが僕の求めるものなのかもしれない。
それはともかくとしてだ、願い空しく僕らの絆はドラゴン坦々麺の終わりと共に砕け散ってしまった。
「え?ドラゴン坦々終わっちゃうんですか!!???」
「ええ、そうなんですよー」
結局僕は通った二年で店主とこの一言ぐらいしかマトモに話をしていない。いつも調理場と目と鼻の先にあるカウンターで食べていたというのにだ。それぐらい殺伐とした関係を保っていた努力は水泡に帰した。
…時は流れ、平成二十四年、春。
「いつもありがとうございます~」
期せずして、好機が訪れた。
店主は確かに言った。「いつも」と。この単語、少なくとも店主に僕という存在がインプットされている証拠であろう。誰にでも言ってるわけではないというのは前のアンチャンとのやり取りで証明されている。
チャンスがやってきた!!!
このまま間髪いれずに二度三度と畳み掛ければ…きっと!!野望が成就する日は近い。この機を逃してはならない!!
「大将、いつもの!大将、いつもの!大将、いつ・・・」
シャドー「大将、いつもの」を繰り返しながらの帰り道、僕は思った。
(にしても一体、店主は僕を誰と間違えているのだろう?)
僕がその店に行ったのは三ヶ月ぶりで、それも二度目の来店なのに。
コメント
最初、回送シーンとごっちゃになってて
理解できなかったが・・・なるほど
今 回送 今 落ち ってことか
急いで読んだから気がつかなかった^p^;
にしても、麺類好きですね
ちなみにラーメンは一番太る食事らしいですよ
知らない女性からコンビニで声をかけられて、向こうは知ってる様子でそのままドライブしてそのまま付き合うことになりました。未だに誰と勘違いしたのか聞けないままです。どうしたらいいでしょうか
馴れ合いを嫌い。
馴れ合いを求め。
って、さりげなくumiさんはツンデレなタイプなんじゃ?www
>>kenjiさん
ラーメン嫌いな人の方が少ないでしょ~。もっとも、今は昔ほどの頻度で行ってないし麺類も蕎麦が一番になっちゃてるけどね。昔のツケが腹にキテるんだろうなぁ('A`) kenjiさんに連れてってもらった遊園のラーメン屋さん、今でもたまに向こうに行くと食べにいきますよ♪
>>ジャギさん
それなんてエロゲ?
>>0.34さん
確かにそう思われても仕方のない書き方なんですがw 馴れ合いの嫌い方と求め方の比率が9:1ぐらいなので多分大丈夫なんだからねっ!!1!
え?どこでしたっけ?w
大桜? それとも線路沿いの水産横?
店長に驚かれるようなメニューをずっと続ければ「いつもの!!」が通用するようになると思いますよ。
とろろそばコーントッピングとか、にんにくラーメンチャーシュー抜きとかw
マジレスすると、「いつもありがとうございます」はリップサービスかと・・・
>>kenjiさん
さーw名前は覚えてませんがトンコツラーメンのお店だす。濃い味
>>椰子さん
そうかぁ。いつもありがとうございますはリップサービスなのかー。じゃあ前のアンチャンは歯牙にかけるにも値しない人物と判断されたって事かしら(;^ω^)w
注文は確かに一理ある。一理あるけど金払ってそんな意に反する料理食べたくないっていうw
喫茶店でラーメンを注文し続ければ
「マスター、いつもの・・・」
が、使える日はそう遠くないように思える
IN 鬼無宿
たまには面白い事言ってもいいんすよ??