9/27  ほーえーざん

以前、夏休みに娘と富士山に登るかもしれないと書いたが、あれは娘の一時の気の昂ぶりだったようで「ヤマノススメ」というアニメを見終わると同時に計画は雲散霧消した。

・・・かのように見えたが、九月も半ばを過ぎたこの時期、ひょんな事から登る事となるのだから人生何があるかわからない。

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とは言え、一応富士の山開きの期間は7月上旬から9月10日までとなっているためもう山小屋は営業していない。それでも登ろうと思えば登れるらしいが、いくら無計画が売りの僕でも子供を連れてそんな危険なことはしない。

今回は、富士山頂を目指すのではなく富士山の右横にポコっと突き出たたんこぶのような山、通称「宝永山」を登るのだ!

…って、最近知ったのだけど僕らしぞ~か人はこの宝永山が右手に見える風景を当たり前と思っていたが、山梨県からすればそうじゃないらしいんだよな。表富士だの裏富士だの言い争うつもりはないが、やはり長年見慣れてきた感覚からして下の写真が僕にとっての富士山だ。いつだって宝永山は右手にあった。

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しかし、お札などに描かれる富士五湖に山が写る「逆さ富士」。この風景は山梨側からのものなので、もしかしたら一般的には宝永山は左手にあるものなのかもしれないね。ほんと今更県民ショーだわ(;^ω^)

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宝永山といえば、1707年(宝永4年)の宝永大噴火によって3つの噴火口ができ、その際に隆起して出来たそうだが…教科書で当時それを見た際に字面からだろうか、何かあの隆起の下に宝が埋まっているとずっと勘違いしていて、それはずいぶん長く僕を縛り続けてきた。ずーっと古墳のようなものだと思っていたw

あれから十数年…正直登る日が来るとは思わなかったが、登れるものなら経験として登ってみたくもある。

ちょうど嫁の弟、つまり僕の義理の弟にもなるのだが、彼が登山が趣味で誘ってくれたため僕と嫁と娘と義母と義弟と近所のおばちゃんという謎の編成で週末、宝永山登山に行くことになった。

義弟は最近県の山岳会にも入会した結構なガチ勢で、登山物の物語が好きな僕としては身近にこういう人がいるのは願ったり叶ったり♪さっそく体験ツアーにまで参加できるのだから最高だね。

ただ、義弟は正直一人が好きなタイプで僕らをこういうのに誘うのは初めてである。噂では山岳会に入るといろいろ山に登った記録(実績?)を積まないといけないとか、引率する経験をしなければならないのだとか色々あるが、今日はそこらへんの裏事情も聞けたらいいなと思っている。

実は未だに義弟と打ち解けてないので(笑)、この機会に進展があればいいなーと。僕にとっては面白い話が聞けそうな人物なのでもう少しお近づきになれたらいいのだが。

そんな思いを胸に、8時30分登山スタート。

宝永山は見た通りちっちゃいので一般的な体力の持ち主であれば大体片道90分ほどで登れるらしい。

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この日の天気は曇り。快晴とは言い難いが、これはこれで味があってよい。

五合目に車を置いて、そこからちょっと登ると見える新六合目の小屋を正規ルートから外れた横道に逸れると宝永山へのルートとなるようだが…

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後ろのほうにうっすら見えるのが六合目の山小屋「雲海荘」なのだが、五合目からここに至るまでの三十分にも満たない間にずいぶんと雲行きが怪しくなってきたぞ。

正規山頂を目指すルートは小屋の左手を。宝永山ルートはここから右手へ、小屋を跨いでさらに奥の小道へと突き進んでいく。

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いかにもな赤茶けた地面をギュムギュム踏み進めていくと、そのうちパアっと景色が開けてソレは現れた。

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霧で上の方が見えないが、急に景色が拓けるのもあってなかなかの迫力である。

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晴れてるとこんな感じらしい。

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雰囲気としては、阿蘇山での中腹の広場に盛り上がる丘で見たカルデラ湖の風景が近いかな。もしくはイメージ上の「火星」みたいな?死後の世界といわれるとそんな感じがしないでもない。

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見た目以上に傾斜のある一本道をえっさほいさと歩いていく。

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そういえば途中、宝永山第一火口の麓に立て看板があるのだが、山頂まで55分と書かれている。

実のところ、先ほど六合目の山小屋の近くで立て看板を見たときは山頂まで2kmと書かれていて、娘と

 「2kmとかwww」
 「超楽勝なんですけどwww」

と話していたのに、ここで55分という具体的な数字を見せられてちょっと愕然とする。屋久島でも似たような経験があるが、表記を変えるだけでずいぶん印象が変わるもんだ。

 (っ!!??)

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先ほども書いたとおり、この日は僕、嫁、娘、義母、義弟、近所のおばちゃんという六人で来たのだが、僕・娘・義弟の健脚チームと義母、嫁、近所のおばちゃんの脆弱チームでそれぞれ速度に差があるため分かれて進んでいたのだが、気付けば後ろの脆弱チームの姿がまるで見えないくらい霧が辺りに立ち込めて…

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あっ!という間に5M先も見えないぐらいの濃霧に包まれる。風も出てきた。霧雨が横っ面を叩く。遠くでは雷の音も聞こえる。この後富士宮市には大雨洪水警報が発令されるのだが、早めに出てきて正解だった・・・のかな?

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先が見えないと疲れも倍増する。

そういえばこの日他の登山者の姿はほとんど見かけなかったが、急にこの写真を撮ってる途中で上から人が降りてきたときは結構ビビった。

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そんな感じで、延々1時間近く登っているといよいよ天と地の境が見えてきて…ってたった一時間程度のハイキングで天と地は大げさかw

とにかく、稜線がハッキリと見えた先には…!!

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午前9時51分。ほぼ正確に立て看板から55分ほどで標高2693m宝永山山頂へとうちゃっく。気圧を測ると740hPaとかで、この数字はよくわからんがカロリーメイトがパンパンになっているね。

ちなみに同じ場所でも晴れてるとこんな感じらしい。

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この日は、霧だけじゃなく風もものすごく吹いていて、周囲に何もさえぎるものがないので風が痛いほどだ。独立峰の富士山ならではの強風は登山物の小説でも度々触れられるものだが、宝永山山頂でこれじゃあ冬の富士山頂辺りはどれだけヤバイかがよくわかる。

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また、風速が1m上がるにつれて体感温度は1度下がるなどとも書かれていたが、それも身を持ってよ~~っくわかった。

 「くっそ寒ィいいいいいwwwww」
 「寒い寒い早く降りよーよ(´;ω;`)」

読んで想像するのと、実際に体験してから読むのでは感覚がまったく違う。今回これを体験できただけでも十分すぎる収穫であった。ちなみにこのとき上に五枚、下に二枚着込んでいるが死ぬほど寒かった。

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風は写真左下から右上の方向へと吹いているため、この石碑の影に隠れているとずいぶんと寒さが和らぐ。とりあえず後続の嫁、義母、おばちゃんを待つためここでビバークもどき。

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 (お、来たな)

寒さにガタガタ震えていると、ようやく妻がやってきて…

 「おいおい嘘だろ!???」

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風避けの場所へと来るや否や、なんとポケモンGOを起動しはじめたではあーりませんか…

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 (キチガイやー!キチガイがおる!!!)

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いちおう、電波は繋がってなんと「宝永山山頂」というポケスポットまであったのだから驚きだが、こいつはヤバイなと別の意味で僕は寒くなった。

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 「ひゃっほい(゚∀゚)さみぃぃぃぃぜ!!!」

妻は妻で山頂ではしゃぐ姿を撮らせる僕を見て、やはりこいつはヤバイなと思ったそうだがw

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寒さで気が狂った夫を捨てて下山を決意する妻と娘。

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この頃になると一層霧は濃くなり本格的に恐怖を感じ始める。さらに霧雨だったものが段々と雨粒のようになり、さながら雨に降られるというより雨粒の中を歩いているような感覚。例えるならば時間の停止した中で雨粒さえ止まっていて、その中を突っ切っているような。

とりあえず寒い。寒いが宝永山の中腹まで来ると山頂に比べて風がずいぶんと遮られるため、変な話だが寒いが暖かさを感じる場面もあった。風のヒューイは偉大である。

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帰りは土砂降りの中、さらに過酷な道を往く。家に帰るまでが登山というわけじゃないが、下山も楽しめるようになって一人前だな。いつか冬山に一人、スッ単騎で一晩を過ごしてみたいというのが当面の願望だが、まだまだ先は長い…

コメント

  1. のっぽさん より:

    山登りしたことないです。
    写真にハマっている友人がいるので、その友人を連れて行ってみようかな。
    でも経験者がいないと危険な感じがしますね。

  2. ヨシホイ より:

    近所のおばちゃんのパーティ内での異質感wwwRPGで言うなら後半明らかに裏切りそうだけど最後まで仲間でいるタイプ
    あの雨の中下山したんすか・・皆体調崩してなければいいのですが><
    台風の時といいキチガイ兄さんワロタw奥さんと娘さんの「うわぁ・・」っていう眼差しを想像するともうww

  3. kenji より:

    登山は下りが疲れますからね。
    (*´∇`*)オツカレサマー
    雨の部分の文章だけやたら
    小説チックでしたねw

  4. 一男太郎 より:

    あっ、そうだ
    うみさん
    カロリーメイト大好きだったんだ。

  5. ヨシホイ より:

    大事な事を一つ忘れていました
    富士山は宝永山が右側!それしか認めないっ・・!認めないんだっ・・・!!

  6. 三重県人 より:

    よく頑張った!
    高校の時に山登りの授業があって最後らへん
    足腰が凄くきつかった記憶があります。
    ちなみに筋肉痛にならなかったんですか?
    関係ないけど「富士山は思春期」って漫画を最近
    読み終えたばかりなので、タイムリーだと思いましたw

  7. umi より:

    >>のっぽさん
    ええですね山の写真(゚∀゚)
    経験者はいるに越したことはありませんけど、宝永山なら道なりで気にせずいけると思いますよ。初心者でもOKか否かも含め必要なことは大体ネットに書かれてる時代ですしね♪
    >>ヨシホイさん
    でもこのおばちゃんの方が僕よりみんなと付き合い長いし、どう見ても一番浮いてるのは僕というオチw
    土砂降りになってすぐに下山できたので被害は少なかったです。あのあと近くの温泉寄って、雷の音を聞きながらうたた寝しておりました!思った以上に中国人観光客などいなくて快適♪
    嫁と娘は日々僕の扱いがキツくなってます('A`)
    >>kenjiさん
    >登山は下りが疲れる
    なんか頭痛が痛いみたいな文章だなwレポ系は軽快に書いたほうが読みやすいって経験でわかってるんだが、山の小説ばっかみてるとそういう風に書きたくなっちゃうんだよねw
    >>一男太郎さん
    あれ?確かに好きですけどカロリーメイト好きをそこまで書いてましたっけ^^;ほっとレモンは書いてたけどカロリーメイトは覚えがないなw
    そしてよく覚えてらっしゃるw
    >>ヨシホイさん
    まー静岡県民の意見はそうだろうしノーカンでw
    >>三重県人さん
    屋久島登ったのがちゃんとした登山の最後だったんですが、あの時もきつかったけど全然人並み以上に行けて妙な自身がありましたが…今やもう若くはないんだなーと悟るばかりでw
    小学生の頃に富士山山頂は登ってるんですが、今はどうなんだろうな~。思った以上にキツくて、富士山なんて楽勝って勝手に思ってたけど自信なくなりました(;^ω^)
    ちなみに筋肉痛きてません!
    漫画は「富士さんは思春期」だとずっと思ってたんですが、富士山なんですねw 
    同じ作者で最近スピリッツで連載が始まった「猫のお寺の知恩さん」という漫画があるのですが、そちらもイイですよ。この人の書く女性って元気が貰えるようで萌えとは違った良さがありますよね。

  8. 三重県人 より:

    あ、「富士山は」じゃなくて「富士山さんは」だったw
    富士山が思春期だったらえらいことになりそうw
    知恩さんは見てますけどイイですね!日常系なのか恋愛ものになるのかどうなっていくのかも気になります。

  9. umi より:

    ああ、「ふじやま」さんなんですねwこっちはこっちで「ふじ」さんだとずっと勘違いしてましたw
    知恩さん系のゆる~い日常系の話は全く話が進まないまま思わせぶりな描写がたまに入ってそのまま終わったりしますからね… せめてめぞん一刻ぐらいのペースで恋愛して欲しいなw

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