2/15　　風の運命

途中参加だったというのもあってか、これまで娘の小学校の行事にはあまり手を出さないでいたが（ある意味免罪符とも言えたがｗ）、中学からは別である。

四月から娘の通う中学は近隣小学校四つが合併するマンモス校…と言えば聞こえは良いが、本当にマンモスだったのは遥か昔。今では四つの学校が集まってもようやっと一学年150人ぐらいが集まるエレファント校（笑）というところである。

いつぞやの七人制サッカーの話を聞いたときも思ったけれど、普段の生活ではあまり実感が無いが、こういう事を聞くたびに少子化をほとほと感じずにはいられない。

まあそれはともかく、方々から人が集まるという事で、どさくさに紛れて僕のような者がひょっこり増えても目立ちはしないだろう。さらに今では職業的な後ろめたさ（）もないため存分に顔を出せる。実を言うと、ちょっとこういうのに興味があったのだ。

　「ならアンタ行ってきてよ」
　「おう！」

中学校のＰＴＡの役員決めがあるらしい。本格的なのは入学してから決めるらしいが、まずは入学前から地区の代表を各学年一人ずつ選出するという事で…夜の中学校にマンモス世代の保護者達が集められた。

行ったはいいが、女女女。男性比率が一割も無い。なんだか自分が意識高い系のイクメンにさえ思えてくるぐらいだし、相手からもそう見られてるような気がするがまず勘違いだろう。

　（どうしよう、男だからって理由で代表にされちゃったら・・・＞＜）

勘違いは止まる事を知らず心配になるも、どうもそれは杞憂だったらしく…

　「では代表やってもいい人～？」

　「はいっ・・・やっぱりいないですねー（笑。それじゃあ、委任状の中から適当に選びましょうか」

　（えっ！？）

委任状とは、『説明会に出席できないので議決権の一切を担当者に委任いたします』と書かれた悪魔の契約書で、今現在この場にいない人はこの契約書を提出する義務があるのだが…

　「おー、いちにいさん・・こんな一杯いるのｗ？舐めてんなーこいつらｗ」

慣れた手つきでおばちゃんが委任状をチャキチャキと切り始めた。まさかとは思うが、そのまさかである。どうもこの人同校の三年生にも子供がいるらしく、するとこれは以前も行われた、繰り返し行われ続けている儀式という事なのだろう。

　「ねえ、ちょっとあなた。この中から一枚選んでくださる？」 
　「えっ？僕ですか？？」

杞憂じゃなかった。代表には選ばれなかったものの、男だからという理由で死神役に選ばれてしまった＞＜

委任状を提出した以上、「休むから好きにしてええで宣言」と見做されるらしいが…まさか実際本当に好きにするとは思ってもみなかったのでオジサンちょっと驚いたよ。

　「ちょっ・・・ええんですかい？こんな適当で」
　「いいのよ～。来ない方が悪いんだから」
　「へ～。じゃあこれで」

こうしてなぜか僕の手でこの地区の代表が決まってしまったが、なんと言う奇跡的な確率だろうか、それは風の○ューイの両親であったｗｗｗｗｗｗｗ

　（そういえば家が近所って言ってたな）

怖いぐらいの縁を感じずにはいられないぜ。

奇しくも世間は乙女の一大イベントバレンタインデーであった。その前夜、乙女真っ盛りの娘の机には大量の手作りチョコケーキがあったけれど、果たしてひゅーい君宛てのものはあったのかな？