8/13　　背新居の陣

夏場に忙しくない電気屋は危ないというわけで、コロナと言えどさほど影響を感じない程度の売り上げはあった…のだが、やはりエアコン以外の仕事がポツポツと減っているようだ。

なんてことは無い、リストラを含む経費削減案を考えねばならなくなってきたというわけだが、飲食業などを見るにここまで普通にやってこれた事の方が幸運だったのかもしれない。同業他社の悲鳴もちょこちょこ聞こえてきた頃だ。

　（しかしリストラって言っても…）

うちは少数精鋭とは言わないまでもギリギリの人員でやってきた零細企業。

現在は4つの班に別れていて、ひとつは僕と義弟（時期社長）のいるブラックチーム。それから四人で中部電力の仕事を回している主力チーム。僕らと同じように別のブラック会社に出向いているもう一つの出向組。そしてエアコンや家庭内配線などを基本何でもやる遊撃隊。

売り上げは季節にもよるが主力＝ブラック＞＞＞遊撃隊＝出向組という感じ。拘束時間はブラック＞＞＞＞＞＞＞出向組＞＞＞＞＞主力＞遊撃隊だけどねｗ

現在出向組はベテランのオッサン二人で回しているが、勤続20年を超えている人らをハイさようならと一方的に切れるわけもなく…さりとて売上が無いどころか赤字になってしまう仕事を放っておけるはずもない。

前々から僕も義弟もブラック企業に出向いているという状況に難色が示されていた。一応義弟が時期社長で内定しているものの、僕もそのうち専務とかにされてしまう。社長が引退した後に責任者として一人は自社にいてほしいと言われていて…　そうなると義弟がかなり特殊な仕事を出来るためブラック企業で重宝されている現状、性格的にも僕が戻るしかないという意見は一族間で一致していた。

　（というか俺も戻りたい(´･ω･`)ｗ）

…のだが、いかんせん人員不足で僕の代わりにブラック企業に送り込める人がいなかったのだ。本当は以前入った新入社員君をそこへ持ってくつもりだったが、

　「嫌っス」
　「は？」
　「自分、エアコンやるって話でここに入社したんで」
　「はいはいそーですかい（+＾ω＾）」

またいずれ書くことになるだろうが、なかなか困った新人君であるｗそんなわけでタイミングを掴めないままいまだに僕はブラック企業に出向中で忙しすぎる日々を送っている。本来なら既に僕は「遊撃隊」として自社に残っているはずだったのだ。

これを機に、遊撃隊として何でも出来るように経験を積みたいところ。

毎日8時-18時超で仕事をしている俺らは一体…という驚愕の舞台裏を聞かされｗ、是非もなく週休二日制の採用に賛成する。平日も8-17時だった出勤体制を、仕事が終わり次第帰ってヨシという方向にして、代わりに給料10％減額という措置を取るらしい。

社員の皆さんは一部反発があったものの、時勢的にしょうがないと納得してくれた模様。もともと薄給が売りの会社でもあるのでそこから10％カットとか…冷静に考えるとかなりキツイのだが、ほぼ全員が独身なのも幸いしたか。

とは言えこれは消極的な方の延命策であり、このままの状況が続けばいずれ何人かのリストラを余儀なくされるだろう。正直なところ主力チームとブラックチームだけの編成にすれば普通に定年までは戦える布陣なのだ。社長さんもそうしたいと言っていたが、それだと何人もの首を切らねばならなくなるし、何より死ぬまでブラックチームになりそうなので僕としてはご免被りたい(´；ω；`)…

この先のイベントを考えると少々気が滅入る。社長ももう70近い。いつ引退してもおかしくない歳で、そう遠くない未来に僕と義弟と妻の三人で会社を切り盛りしていかなければならなくなる。仕事以外に頭を悩ませる比重が非常に増えること請け合い。

　（流れに任せてここまで来たが、俺が専務とか何のギャグだよ（；＾ω＾））

いつの間にか先輩方が僕に敬語を使うようになっていた…　

　（一族の贄…）

一瞬そんな言葉が浮かんだがｗ、結局は自ら選んだ道だ。最大限の努力はしよう。

それにしても遠くへ来てしまったものだと感じてしまう。魚くんとキャッキャウフフしていた頃がただただ懐かしい…