1/25　　送り出す勇気

ブラック会社の仕事を引き継いでもらうべく、新たに白羽の矢を立てたは50代の後輩さん。

まあ後輩と言っても長らくウチの外注さんとして仕事をして貰ってた人で、なんだかんだで会社とは10年以上のお付き合い。外注としてやっていた仕事が無くなりつつあった一昨年に色々あって社員としてウチに改めて入る事になったのだが、そんなわけで全く後輩という気はしないし、事実誰もそう思っちゃいないだろう。別に僕も先輩面するつもりは全くないが…ブラック会社の仕事を教える以上どうしても立場は上になってしまう。

　（パイセンの気持ちが今ならわかるぜｗ）

いわゆる一つの年上の後輩というやつだ。

当然ながらブラック会社の仕事の経験はゼロの50代後輩さん。この会社で行う仕事は電気工事の仕事とは似ているようで全く違うためイチから色々覚えなくてはならない。そのため、いくら50代後輩さんが電気の道のベテランとは言え、全くのズブのド素人として入社した僕とスタートは同じようなもの。そしてそれを教える僕は奇しくもあの日のパイセンと同じ立場となったのだ。

　（実際この立場って難しいな＾＾；）

現場での仕事が全然なのはまだ仕方がないが、資料のまとめや客先への挨拶周り等、既に覚えたはずの仕事が異常に遅いのが気になる。誰がやってもそこまで変わらないであろう業務にも関わらず、僕の三倍は時間がかかって･･･　こういう業務は僕が忙しいときに別行動でやってもらう事にしているのだが、あまりの遅さにサボってるのでは？と疑わしく…が、それを問い詰めるのも中々勇気がいる状況だ。一度、「遅すぎません？」と遠回し（？）に言ってみたら、後々陰口を叩かれている場面に偶然立ち会ってしまったｗ　

ちょうど同僚に「こんな事言われたんだけどどうしろってんだよ…」と愚痴を言ってたところに鉢合わせてしまったのだ＾＾；それ以来何か言いだし辛い。

　（そして準備や後片付けを一切手伝ってくれないんだよな（；＾ω＾））

うちの会社は現在コロナシフトで16時に仕事が終わり次第帰っていい事になっている。他の班の人はもはや16時が定時と言わんばかりにさっさと仕事を切り上げて帰ってしまうのだが、僕は基本的に本来の定時である17時までキッチリやるので帰りはいつも遅くなる。…と言っても17時には会社に戻れるようにしているのだが＾＾；

　「じゃあ定時なんで帰ります！」
　「え、ああ…はい」

現場から帰ってからも色々とやる事はあるのだが、会社に着くなり秒で帰ってしまう50代後輩さん･･･。僕はこの後資料のまとめや後片付けやら、ブラック会社への提出物やらで19時前までは仕事をするのだが…知ってか知らずか当然の権利とばかりに帰ってしまうのだ、、、が！

　（思えば自分もそうだったなぁ･･･）

この行動に懐かしさを覚えるｗ

と言うのも、当時の自分もパイセンの「いいっすよ！あとはやっておきますから」という言葉に甘え、面倒な事はやらざるを得なくなったらやればいいやと、見て見ぬ振りをしてそそくさと帰路に着いていた時期があったわけで…

　（わかるわあｗ）

そして、どうせ提出書類やら資料をまとめる段になってもやってもらう事もないし、一人の方が捗るし…とそれを咎めなかったパイセンの気持ちも今ならわかる。年齢が一回り以上離れている人に強く言えないという状況もよーっくわかるｗ

　（しかし、自分の時は結局見切り発車的に独り立ちさせられたが…）

こうなると、どういうタイミングで放流していいものかが悩みどころ。

僕は忙しさの中で強制的に独り立ちさせられたのだが、今はそこまで繁忙期というわけでもなく･･･しかし一人でやらないと覚えないというか、失敗しないと学ばない部分というのは確かにあって、きっとそれは緊張感の違いなのだろう。甘やかしすぎても良くないとはわかってる…

　（ただ、何かミスがあったときに自分のせいになるのは困るなぁ(´･ω･`)）

ミスの種類によってはブラック会社のさらに上の会社にまでクレームが届きかねない割とデリケートな仕事である。部下の失敗の責任を取るのが上司の仕事と言えればカッコイイのだけれど、僕だって言うほどブラック会社の仕事を極めているわけでもないしなぁ…

　「そろそろ一人でやってみますか？」
　「えええ、まだ怖いよ」

もうすぐ仕事を教えて二か月になるが、未だにこんな調子だ。見切り発車だったとはいえ、当時僕を強制的に放流した義弟の胆力は実はすさまじかったのかもしれない。