8/27  定められた形

炎天下の中毎日12時間拘束という地獄のような現場がようやく片付いた。

何が地獄かって、最後の方に現場監督見習いとしてやってきた二十歳の坊やがいたのだけれど、まだ緩めるという事を知らないせいか何でも完璧を求め…それは例えば通常なら放っておくような場面、

 「ここのネジなんだけど~」

器具に取り付いたネジやボルトの緩みをチェックして、最後にマジックで「合いマーク」という確認印を刻んでいく作業があるのだが・・・

 「ここさー、細かいネジが50~60個ぐらいあるんだけん、主要なボルトだけでいいよね?」

この質問、少し前まで現場監督をしていた上司の人なら「あー、重要なのだけマークつけて、後は叩いたりして緩みだけ軽く見てってください」という場面である。当然こちらもそれを期待して聞いてるわけだが・・・

「え、ええと・・・その、一応何かあるとアレなんで・・・その」

坊や監督はそれができない。後々何かあったときの事が怖くてこう言うのだ。

 「なに?」
 「その・・・全部増し締めして合いマークしてください」
 「はっ!?」

同じ器具がこのあと7,8個控えているんだが・・・地獄のはじまりはじまり~。

どれだけそれが面倒で特に必要ないという事を訴えても、こうなってしまうと坊やももう引くに引けないし、一応彼がこの場の責任者という事で僕らもそれ以上強くは言えない。これ孫受けの悲しいところね。

とは言え坊やも別に横柄な態度を取るとかって事は一切ないのだが、それだけに大変だ。面倒だけど確かに工法としては正しい。推奨できないが正しいことなのだ。

 (こういうのは経験だからなぁ)

今後のためにも早いところ現場の空気というか、流すところは流すという事を覚えて貰いたいものである。

・・・と、まあ偉そうに言ってるけど彼の方が僕より経験豊富なんだけどね(;^ω^)w

風格だけで押し切ってやったけど、ガードマンのオッサンも最後までそれに気付けなかったらしい。僕がまだこの業界一年未満って聞いたらどんな顔したんだろうかw

 (結構働いた感覚あるが、まだ一年経ってないんだもんな~)

毎日朝早くから仕事をして、ただひたすらに週末を待って、その週末が一瞬で過ぎ去りまた週末を待つ。気付けば一ヶ月なんてあっという間で、すなわち一年もあっと言う間。一生だってあっという間だろうな。ボーっとしてたら人生はあっという間だ。

こないだぶっ飛んだ指も何時の間にか治ってた。若干形が変わったけれど、なるようになるもんだ。僕の心の形も少しずつ変わっているのだろうか。

コメント

  1. ドニート より:

    監督によって同じ作業でもまるで変わりますからねー

    タイプでアプローチを変えるのも面白いですよ!!

    例えで言えば「主要なボルトだけでいい?」より「主要なボルトなんで合マークつけておきます(他はつけんで」とか
    経験浅い相手だとすんなりいったりしますwww

    「いえ、全部にして下さい…」と言われたら詰みますけど

    言葉巧みに誘導して
    こちらの言わせたい事を監督に言わせるのが気持ちいいんじゃぁ

  2. kenji より:

    とある社畜の超電磁砲

    杓子定規で必要ないとこまでやらせるのは本当に勘弁して欲しいですよねw

  3. 愛知のクマ より:

    前職では新人の現場監督が、経験ある現場の人々にビクビクしながら指示しているところ良く見かけました。
    しかし、もし自分が新人現場監督ならやはりセーフティーファーストになると思います。
    立場で人は変わると思いますね。
    自分の上司は指導しない人なので、僕が代わりに部下を指導しざるをえない環境です。
    仕事は一生懸命やればやるだけ理想と現実のギャップの壁にぶち当たりますが、仕事の拘束時間が長くなったときほど、人を動かすのはインフォーマルな関係性が日本では重要だと感じてます。
    最近一年が徐々に短く感じますので、いい意味では充実しているのかもしれませんねw

  4. ヨシホイ より:

    正論と現場経験論はなかなか難しい議題ですよね。僕は基本的にあれやってこれやってと各部署にお願いする部署なので頼み方とかに気を使います
    「ホントはAでやってほしいんすけどめんどくさかったら今までのBでいいっすよぉ」
    「うーんじゃあBでw」
    「ですよねwでもそこをあえてAでやってくれたりとかは・・」シタテシタテー
    「Bでw」
    「ですよねw」
    で、自分の上司にはBじゃないと出来ないって言われました!少し僕が手を入れてAにします!これでみんなwin-win

    なんか主題と違う気がするけどベースを作ってくれる人がいるのだどうしても正論にしたければ後は管理者なりその部下なりが近づければいいと思う実際の現場ではそうもいかないのかな

  5. 一男太郎 より:

    ご無沙汰しております。本当人生って早いですよね。
    「今より若い時はない」とはよく言ったものです!

  6. umi より:

    >>ドニートさん
    自分達的にも言葉は選びつつやったつもりなんですが、何だかんだで後々やり直してくれってのが一番面倒なのでね・・・(;^ω^)その場で判断できない人がいる時点で無理ですよw

    >>kenjiさん
    工法はともかく、細かな休憩取るとか予定より進んだらちょっと早く終わるとか一切してくれなかったのがキツかったです(‘A`)・・・ 世にはこれで怒り出す職人さんもいるんだろうなー。

    >>愛知のクマさん
    そうですね。自分が新人で・・・という感じならああなるのは仕方ないとは思います。まだ人に指示を出したり指導する立場にいないのでわかりませんが、いずれそういう日が来たら色々思い出しつつ、、、「と、言われてもなぁ・・・」状態になるんでしょうねw

    一年が短く感じるけど充実してるかと言われると・・・w

    >>ヨシホイさん
    協力会社の役職さんがそういう人(自分で色々背負い込む)なんですけど、なんでも引き受ける内に過労で倒れて点滴打ってました^^; 手を入れる程度にもよりますね。周りからすると有難い存在ですがその人だけ貧乏くじ引かない事を願います。。

    そういう姿を見せて自発的に周りが歩み寄ってくれるぐらいの関係が一番だと思います。一朝一夕じゃ築けない信頼関係ってありますよね・・・ こうしてブラック会社に慣れていくのだ・・・

    >>一男太郎さん
    ご無沙汰です!なんかパチプ時代より早く時間が過ぎ去る気がするのですが、ボケーっとしててもしょうがないので何か始めなきゃなぁ・・・

    「今より若い時はない」・・・もっと若いときに聞きたかったw多分そんときは聞き流してるんだろうがw

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