9/17  永遠の豚ちくしょう

とても自分に失望した。失望するほどの自分がいるのかと問われるとそれもまた心苦しい問題なのだが、それはともかく、恥を忍んでここに記させてもらう。

諸兄らは覚えているだろうか?少し前に師匠への誕生日プレゼントで悩んでいたことを。ここに至るまでの経緯は過去の日記を読んでもらうとしてだ、重要なのは「一月もの準備期間があった」ということ。

それだけの時間があったというのに僕はどうしてあんな結果しか導き出せなかったものか。

昔から僕は人と「楽しい」と思う部分が少しズレていて、しかし見方を変えればそれはセンスとも言えるしそうそう悪い事ばかりでもないのだが、常識を求める場面に於いてはこれはいつでも癌になりえる。

…と、少々話が行き過ぎたか。

まず、品物なのだがこれがなかなか決まらず、それでも最終的には二つ三つにまで絞られた。

一つはよく師匠とは温泉旅行へ行っていたのでそれを企画するのもアリかなと考えたのだが、シフトの関係上どうしても後手後手に回らざるを得ないプランという事もあって、またここが僕のいけないところなのだが、「シークレット感」というものにこだわり、この計画を実行する以上突然、『じゃあ行きますか♪』というのを目標としたいところがあって、そんなわけでなかなか実現が難しく…

二つ目は万年筆や高級ボールぺンの類。常にいい鞄を持ち歩いている人だし良さ気なスケジュール帳と共に贈ろうかなと考えるも、しかしいかにも俗っぽいと、また悪い虫が囁きだした。

三つ目は開き直って帽子やらネクタイやらの小物。数があっても困るものじゃない類のものであれば多少センスが合わなくても用途はあるだろうと。しかし前世の呪いか、どうしてもオシャレなショップに入る事が出来ないため断念。

 「おう、うみ。そういえば予め言っておくけど、俺の誕生日に何か贈ろうとか気を使わなくていいからな?」
 「・・・ふむ」

しかしあくる日、たまたま別の人の誕生日の話になった際に唐突に師匠がこう切り出すではないか。…と、恐らくこう言うってのも予想していた部分があったからそう驚きはしなかったが、なぜって僕が師匠の立場でもそう言うだろうから。

 (しかしそうは言ってもですね、)

昨年、ブックカバーに対しブランドものの服と、結構差のある贈り物交換をしてしまった身としてはだ、やはり何とか返したいわけで。結果それが数ヵ月後の僕の誕生日に師匠をさらなる倍々ゲームに誘うとわかっていようと… (無論僕も自分の誕生日には「気を使わないでください。お願いです」と言うのだろうが、やはり師匠は何かくれるのだろうが)贈らずにはいられない。

 『贈らぬ優しさ』

例えばそれは、別れた彼女に優しくしないような、そんな感覚なんだろうか。それとも死にそうな工程でヒイヒイ言ってる後釜に対し、ムーンウォークをしながら心を鬼にして助けぬあの非情さかもしれない。

両者に共通するのは相手への思い遣り。

今回に限り、いや、いつだってそうなのかもしれないが、とにかく僕にはそれが決定的に欠けていた。

 (ああは言ってるが、とにかく何か贈らねば)

結局のところ、自分の満足感を優先してしまったのだ。

が、ここまではまだいい。贈るにしても、負担にならないような軽いもの…まゆゆの写真集とか煙草とか、彼の好きな手頃な何かを贈るぐらいで、後はご飯でも奢ればまだ向こうも軽い気持ちでいれた事だろう。

しかし、僕の取った行動…

 (こ、コレしかない!!)

なんと仕事場の近くのカプセルホテルの回数券を買ってメッセージを付けて渡したのだ。そのカプセルを師匠がちょくちょく利用しているのは知っていたし、ちょうどそのとき師匠に借りてた「罪と罰」という本で、手紙の書き方が殊更面白く、それを真似て添えたらきっと面白いぞ、と…

  ~最後に、アヴドーチヤ・ロマーノブナに心からの敬意を表するとともに、あなたに深く信服していることを重ねて申し上げます。   

  あなたの忠実な下僕 P・ルージン 

これは「婚約者の母親」に対し「花婿」が送った手紙の結びの部分なのだが、こんな具合に作中の手紙には度々締めの部分になんともユニークな一言が添えられているのが僕はとても気に入り、ここのところ師匠と話題にしていた。

 (そうだ、メッセージカード、添えよう)

京都に行こうとばかりに思いついたソレを、僕はちょうど同時期に思いついた実利性のある回数券という素晴らしいアイディアと共に、ついに先日実行に移したのであった…

・・・・・・・・・
・・・・・・

・・・

 (しかし、なぜ俺はあんな無粋な事をしてしまったのだ)

あれほど贈り物と気持ちの関連性、重要性について考えていたはずなのに、よりによって回数券とは、金券とは、今思えば無粋の極みではないか。確かに頻繁に利用するものであれば貰って困る物ではないが、あまりにも血が通っていないというか、しかもここが重要なのだが、意外に値が張るし、さらに値段の予想も簡単につく!!

まるで軽くなくて、あまつさえユーモアの欠片もない、本当に何がしたいのかわからない品じゃあないか。

 (うーん??)

おかしい。確かに思いついた瞬間は「コレしかない!」と思っていたはずなのに、購入直後から急に不安になって、しかし今さら渡さないのもアレだしな…と渡してからも悶々として…

昨晩見たテレビの内容を伝えようとして…のそれに似ている気がする。伝える寸前まで一分後の爆笑の渦を想像しているのに、イザ説明をしている最中で不安になり、説明した後は「なぜ俺はあんな面白いと思ってしまったのか…」と後悔するあの現象。

 「噴いたどwこれはうみにしか思いつかないな。ありがとう、大切に使わせてもらうよ!」

師匠は笑ってそう言ってくれたが、もはやその言葉を額面どおりに受け取る自信は微塵も無い。そうして、この未達成の自己満足のために師匠をプレゼント地獄へ引きずり込んだ罪は殊更に重い。

この自己嫌悪と、やがて来る自分の誕生日への心苦しさを罰とし生きていこうと思います。

  いつまでも空気の読めない男  S・ウミ

コメント

  1. ヨシホイ より:

    どんなものでも金額の想像はつくだろうから無問題じゃないですか?確実に使ってもらえるだろうから実用性もバッチリ!って思うのは僕も空気が読めないんでしょうか・・・
    プレゼント連鎖ってぴったりな言葉ですね
    特に同性だと前回を上回ろうとゆう気持ちが品物を限定していく

  2. ひろたかし より:

    考えすぎだよ!!
    可愛がってる後輩からくれる
    プレゼントは足りない方がちょうど
    いいと思いますよ!
    じゃないと、次あげる立場上レベルが
    毎回互いに上がると大変だよ!!
    回数券(≧∇≦)
    ギャングキングらしいよ。。

  3. のっぽさん より:

    好きな子に送るメールは考えれば考えるほど迷宮入りします。
    脳内会議で審議を重ねて完璧と判断されたものほど稚拙で自己中な文章になっていて送った後に後悔する・・・
    それにしてもカプセルホテルの回数券をチョイスするとは(笑)
    結構高額なのではありませんか?

  4. ( ・ω・)y-~~~~ より:

    記念日好きだなぁ(;^ω^)うお師もたいへんだな。。。
    別になんでもない日になんでもない物を日頃のお礼にって渡した方が良くないかい?
    職場でみんなで使えそうな、ネスレのコーヒードリップとか、オキツがくれたんでみんなで休憩時に飲もうや、とかネタにしてくれたりしておもろいのにw

  5. kenji より:

    きっとumiさんらしいし
    ウィットに富んだギャグで爆笑間違いなしさ!!
    最初、ラブホの回数券って見えて(^◇^;)こ、これは、、、
    と思ったのはここだけの話だ。
    この手の話が好きならカラマーゾフの兄弟なんかもオヌヌメするぞ。

  6. 椰子 より:

    いつぞやのブログに
    「空気が読めないのではなく、読まない」
    といった内容のものがあったような。
    まあそれはともかく、プレゼントで大切なのは気持ちなんで、お師匠様にうみさんの気持ちは十二分に伝わったのではないでしょうか。
    超絶イケメンや美人だったら
    「プレゼントは俺(私)!!」というのが通用するんだろうなあと考えてみたり。
    エロゲのやりすぎでエロゲ脳になってるのかなw

  7. めがね より:

    僕も空気読めないタイプだからかもしれませんが、全然アリでしょこれ!
    ちなみに僕は料理が苦手って言ってた人に対して考えに考えた挙げ句に圧力鍋をプレゼントした事はあります!
    今でも後悔はしてません(笑)

  8. umi より:

    >>ヨシホイさん
    うーん。でも金券ってプレゼントに値段が刷ってあるようなもんだしなぁw実用性を追求しすぎたあまり遊びがなくなってしまった事が僕は悔しいのです>< ユーモアのない遊び人なんて。。
    >>ひろたかしさん
    なるほど。ちょっと足りないぐらいがいい、か。この言葉にはなかなか救われるものがあるな…
    ありがとう!ギャングキングって単語がなかった誰かわからなかったけどありがとう!
    >>のっぽさん
    >脳内会議で審議を重ねて完璧と判断されたものほど稚拙で自己中な文章になっていて送った後に後悔する・・・
    あるねーwそんな甘酸っぱい思いしたの随分昔の事になっちまったけん。あの緊張感が無いと老けるのも早い気がします><
    回数券は…ゼーガペインの天井一回分。そうなんすよ。結構高いんすよ。だから悪いなって気持ちが余計に><
    >> ( ・ω・)y-~~~~ さん
    なんでもない日に贈り物ってそんなイケメンみたいな事はまだ習ってませんよ。。でも、師匠や職場はともかく、彼女にはそういう事してあげたいですね。
    いる時に気付きたかったぜ(´;ω;`)
    …ところで、もしかしてネスレのコーヒードリップって笑うところでしたかねw?
    >>kenjiさん
    多分苦笑いだったんじゃねーかなw直接渡さなかったから感想はメールだったし、まあ今回はその方がお互い良かったんだろうけどw
    ラブホの回数券はアリなんだろうけど、回数券あんのかな^^;?あんま行った事ないから知りません!!
    カラマーゾフも読むよ!地下室の手記だっけ?あれも。やっぱ有名なのはそれなりに理由があるね。最近外国人作家に夢中。
    >>椰子さん
    懐かしいお話を覚えておいでで!あれはまあ、接客に関してでもあり、半分はネタですよw
    逆に気持ちを伝えるに最も相応しくないものを渡してしまったなと僕は後悔してるわけなんですがwそれはさておき、その妄想はさすがに危険です…
    >>めがねさん
    え?本当に?なんか結構アリって意見をくださるようですが、本当にアリなのこれ??気持ちとしては娘の誕生日プレゼントに現金渡したような気分なんですけどw
    圧力鍋は実際料理が「嫌い」じゃなくて「苦手」ならむしろアリなんじゃ… と、結局感じ方なんてこんなもんなんすねw

  9. kjkou より:

    前記事の返信をこちらでさせていただきます。
    エナブログを書く理由、、いくつかあるのだろうけどその中で自分の中で大きいのは自己相乗効果…ってヤツのためですかね?
    本ブログはエナラインを下げて検証に重きを置いてるので勝率低いわけですよ。
    ってことでブログネタのために打つかぁってことで普段だったら迷うラインでも突撃できるわけです。

  10. ヨシホイ より:

    なるほど・・プレゼントに値札がついたままみたいな感じってことですか・・
    貰った方は悪く思わないけど送った方は少しヘコみますね。

  11. あおめがね より:

    迷ったときは1万ぐらいで品物を選べるカタログってのもいいですよ。最近のはグルメとか旅行とかテーマ別に色々あるみたいですし

  12. より:

    男なんて何歳になってもガキっぽいからなあ、メッセージカードなんか内容に遊び心ありゃ嬉しいんじゃね
    ただし回数券、テメェは駄目だ!シベリア送りだな

  13. キヨ より:

    ふむ。
    『手作り添い寝券(∞)』付きですね。
    わかります。

  14. umi より:

    >>kjkouさん
    自己相乗効果(?)というよりその説明だと背水の陣って印象ですがね^^;
    しかし検証はいいのですが、身銭を切って検証して、自らそれを発表する行為、(これは全てのエナブログに言える事なんですが)自ら狩りの仕方を教えて猟場を減らす、と。これでは一体何のために検証しているんだという気もしますが、さて。
    >>ヨシホイさん
    まあ済んでしまった事は仕方が無い!それより問題は確実にセンスのよいものが贈られるであろう僕の誕生日をどう耐えるかです><
    >>あおめがねさん
    結婚式のアレですか?さすがに不特定多数ならともかく、1on1であれを贈る発想は無かったなぁ。
    あれもある意味では金券並みに投げっぱなしジャーマンっていうか、血が通ってない気がしますよw
    >>ピさん
    おまえの誕生日プレゼントは風俗の回数券な
    >>キヨさん
    やっくんは書き込む前に推敲する癖を付けた方がいいよねってフトがメールしてきたよ。

タイトルとURLをコピーしました