11/11  結果KY

先輩のお気に入りという洋食屋に連れて行ってもらったときの事である。

 「あ・・・これ、おいしい!」

前菜?として出されたコンソメスープ。こいつがとてもおいしくて、思わず僕は口に出してハッキリと『おいしい』と言っていた。

 「そうかい?ははっ、ありがとう。これはね・・・」
 「そうなんですか!へぇ~」

小ぢんまりとしたお店。カウンターに腰掛けていた僕らの声は眼の前のキッチンで料理を作っているマスターの耳に届いていたらしく、それは期せずしてささやかな会話の種となる。

  (いいじゃん、いいじゃん、いい調子だよ俺!(゚∀゚))

マスターとの会話が弾むのはいい事だ。常連化の第一歩。そして何よりこのおいしいと思ったものを素直に「おいしい」と本人に伝える事。無意識にやっていたにせよそれが出来、結果こうした会話に繋がった事が僕はとても嬉しい。

ただ、反面で

 (出すぎた真似をしてしまってはいないだろうか?)

こういう心配も無いわけではなかった。例えば何でもかんでも褒めりゃぁ「なんだコイツ?褒めりゃぁいいと思ってんのか?」なんて思われる事もゼロとは言い切れないし、そもそも素人がプロの仕事に口を出してるような気にもならないわけでもないしね。

しかし催促したわけでもないのに「良かったらもう一杯飲むかい?」と言ってスープを継ぎ足してくれるマスターを見るからに、けして悪い気はしなかったのだろう。僕の心配は杞憂だったと知る。

 (なんだ、こんな事ならあのラーメン屋でもあの洋食屋でも、言ってればよかったな・・・)

どうしたものか、僕は「それ」が昔っから出来ずにいた。

こういうのに気恥ずかしさを感じてしまうのもあるし、そしてこちらが本命の理由なのだが、「おいしい」というのは言って問題のある言葉じゃないだろうけど、それを正しいタイミングで正しいニュアンスで伝える事が出来るのだろうか、と。そういう心配を常に抱えて僕は言い出せずに今日を過ごしていた。

軽口叩きの皮肉屋な僕は、ややもすれば嫌味な感じで『ソレ』を伝えかねないのではないかと、そういう心配を抱えていた。

考えすぎだと、自分自身そう思わないでもないが言葉なんてのは伝え方、語尾の上げ方一つで如何様にも変わる事がある。普段KYと言われる空気の読めない僕だけど、こういう変な箇所ばかり気を使ってる所がさらにKYと呼ばれる所以なのだろう。

それに、「通」ぶってると思われてもアレだし、触らぬ神に祟りなしという考えも無かったわけでもない。おいしい店なら通いたいし、ならば下手な事はしたくないし。

本心では言いたいなと思った事は過去何度もあった。

けど、言えなかった。

 (・・・どうしてだろうな?涙が出るほど感動する味ってわけでも無かったのに)

今回どうして口に出てしまったのかはわからないが、とにかく良かったのは「とても自然に、嫌味無く」言えた点だろう。その点が非常に幸運だったと言わざるを得ない。こうした積み重ねが僕の夢である

 『マスター、いつもの!』

に繋がるに違いない。今日はその一歩を踏み出せたのだ。

 (うん、頑張ろう!)

・・・ただ唯一気がかりな点が一つある。

それは僕がコンソメスープ以外を全く褒めなかったという点をマスターがどう思っているかだ。前菜であれほど反応を示したってのに、どうしてそういう事に頭が廻らないのだこのKY野郎っ・・・!!

コメント

  1. iwate より:

    アレだ、考えすぎだよw
    「自分は素人だし、作り方とか何を使ってるかなんて分からないけど、美味いか美味くないかだけは分かる」位に思ってれば良いじゃん。
    全ての人の舌に合う味なんて無いんだろうから、どんなに自信がある料理でも目の前の客に「おいしい」と言われると、作った人は嬉しいと思うよ。

  2. ダンデ より:

    うんumi氏は考えすぎだw
    今日の題名から
    umi氏の事だから何かとんでもない
    KYやらかすと思って
    ヒヤヒヤしながら読んでいたのにw

  3. やす@豊中 より:

    黙って食べてても伝わるもんよ、美味しいかどうかって。
    まああれだな、自意識か(ry

  4. u より:

    どうみても考えすぎです。
    本当にあr(ry
    無理に言葉に出さなくても、おいしいものはしっかり味わって食べる。
    そうしてれば、そんな気にすることも無いと思いますけどねw

  5. ( ・ω・)y-~~~~ より:

    新型インフルエンザごときで、この醜態。
    この後来る鳥インフルエンザが楽しみだ。
    ウイルスはほぼ平等にみんな殺すと思う。
    ほっとレモン聖水を飲んでいた者のみ生き残り、次世代を創るのだ!と、おきつ創世録に記されている。。。。

  6. umi より:

    iwateさん
    恋人においしいと言うのならイザ知らず、相手はプロなので尻込みしてしまうですよねー。考えすぎだとは自分でも思うのですがw
    ちなみに、スープの作り方は聞いてみて、どこのスーパーで粉買うんですか?って聞いたら笑われたお(´・ω・`)
    ダンデさん
    ヒヤヒヤと言えば、雀荘でバイト中にメンバーから出た当たり牌に見逃しかけて、んで客から直撃してキレられたって話ならあります(;^ω^)麻雀知らない人にはわからないかなぁって思って書いてませんがまあ相変わらずって感じでw
    やす@豊中さん
    通ってればそういう沈黙のメッセージにはなるやもしれませんが、僕は「マスターいつもの!」が目標なので基本的に寡黙なキャラよりは気さくなキャラでいたいのです^^ 自意識過じ(ry については否定しません、できませんw
    uさん
    「おう、うみちゃん。今日はどうしたの?」
    「へへ、マスターのスープが飲みたくなっちゃってね」
    「いやぁうまいなぁ、うみちゃん。じゃあいつものでいいね!?」
    「大盛りでね!」
    こういう会話がしたいんだお(´・ω・`)黙って食べてたら出来ないんだお。
    ( ・ω・)y-~~~~さん
    インフルですかぁ。そちら方面疎いのでわかりませんですが、そんな流行してるんですか?鳥はともかく、今をお大事にどうぞ!
    ほっとレモンはカロリーゼロってのがこないだ出たんですがこいつがすこぶるウマイんですよ!生き残りたかったらぜひどうぞ^^

  7. Motarike より:

    ヒヤヒヤと言えば、雀荘でバイト中にメンバーから出た当たり牌に見逃しかけて、んで客から直撃してキレられたって話ならあります(;^ω^)
    見逃しかけてって言ってるけどそれは見逃してるんじゃないのか・。・
    自分が客でもそれはイラッとくるかもしれんなあ。
    何よりumiさんがほんわか幸せそうで何よりです。

  8. G より:

    人と一緒に食事をして思うのが、とりあえずうまいって言うか黙ってるんですよね
    俺はよく一口食って「これまずくない?」って発言をして場を凍らせるんですが
    そこらへんをうまく迎合していくのが人付き合いってやつなのか・・・とゲンナリする日々です
    いつもの、ですが俺も数軒いつもので通じる店はありますが
    自分から結構仲良くしていかないとなかなか覚えてくれませんよ
    ツッコミ役に相方でも連れて初めての店なのに「いつもの!」ってボケたりすると覚えが早いかも

  9. umi より:

    Motarikeさん
    すいません、わかりづらかったですね(´・ω・`) 見逃しを(敢えて)かけて、って意味です。見逃しかけてのかけては~○○しかけて、みたいなウッカリ用語ではありません。明確な意思を持ってハッキリと!の意を持っております。
    ・・・まぁだからキレられたわけだがw しかしあの場合は性格次第じゃ見逃す人はたくさんいるし、メンバーだから見逃しかけちゃイケナイって制約もウチの店はありませんから個人的には全然問題無いと思うんですがね(´・ω・`)
    Gさん
    まずい料理が出た際に店内で「まずい!」って言う方は個人的にはちょっと苦手です^^; KYな僕ですらそう思うのだから、さぞかし空気が凍るのでしょうねw 
    ・・・って思われるような事を別な所でやるのが僕なのか(A`)  そりゃゲンナリだw 
    ボケとツッコミですが、なるほど。そうやって覚えて貰えば楽かもしれませんね。今度オヒキを連れてやってみようかな

  10. kenji より:

    あれですね・・・
    umiさんのブログは文才があって超面白いです。
    っと正面から言う読者が何人いるのか?って話でもありますね

  11. umi より:

    なるほど。うみさん、いつもの!といってくれる人がいないわけだ!