ピンポーン!!
(・・・ッ!!!)
突然のインターホンに驚き、飛び起きた。ドックン、ドックン。心臓の音が聞こえるぐらい、激しい動悸。僕がそれほどまでに驚いているその訳は、たった今、見てた夢。
─俺が何とかする。
─おいっ、○○!!
どういう経緯でそうなったのかはわからないけど、僕らは上の人々の悪行を見かね、いよいよ組織の崩壊を企てた熱い若者達。その熱さが勢い余って上司を手に掛けた所で僕の夢はインターホンに遮られ…
(こりゃ、捕まるな…)
そう思った矢先の現実とのリンク。警察がやって来たと僕は飛び起きる。いや、インターホンを聞いたからそういう夢の内容となったのか?わからない。とにかく、僕は現実へと呼び起こされたのだ、インターホンに。
「えっ!?」
そして思わず、声が出た。
僕の目線の直ぐ先にある掛け時計。ソイツが指し示している時間は・・・
(・・・一時、半!?)
確か僕は何日かぶりに部屋へと帰ってきて、夜勤明けでそのままバタンQして・・・ あれ?そういえばなんで電気が燈ってるんだ?魚は?
隣で寝ているであろう魚君を確認すべく、左を振り向く。
「ッ!!?」
隣に魚君はいなかった。いや、それどころか本来ヤツの布団があるべきスペースに何も無い事に気付いて僕は眉をしかめる。
(え?え?)
夜中の一時。いるはずの同居人がいない。消えた布団。そして鳴り響くインターホン。
見慣れた空間がまるで別のものになっている。ドックン。どっくん。どんどん動悸が激しくなっていく。頭がまるで働かない。一体何が起きているんだ?
「起きた?」
「っ!?」
混乱する僕の頭の方から声が聞こえてきた。首を真上に動かすと、さかさまの世界で見慣れた半魚人がパソコンをやっていて、その更に後ろに見える窓の外は真っ暗闇で…。ああ、やっぱり今は夜中の一時半なんだ・・・。
・・・ん?じゃあ布団・・・いや、それより
・・・・・インターホン!!
「今、インターホン鳴らなかった?」
僕は寝起きで混乱していて、布団が無くて、事態がつかめなくて。平然としてる魚君を見たらもう何が何だかよくわからなくなってきて、たまらず聞いた。幻聴のような気さえしてきた。
「鳴ったよ」
しかし平然と答える魚君。だけどそれが一層僕の混乱を増長させる。
「おい、待てよ。夜中の一時半にインターホンだぞ?相当おかしいだろ?」
「おかしいね」
「なんでそんな落ち着いてるの!?恐ろしい事が起きてるんだぞ!?」
「恐ろしいね」
「出ないの?」
「恐ろしいからな」
「そりゃそうだ」
・・・しかしおまえ、明日も会社だってのにどうしてこんな時間に起きてるんだ?そう聞こうと思った瞬間、また鳴った。
ピンポ~~~~ン・・・・
先程より一層不気味に、一層冷気を帯びた音が僕らの会話を止める。
「・・・・・・・・どう思う?」
「どうって・・・。何か用なんじゃねえの?」
「こんな時間にか!?」
「こんな時間って・・・ まあ、大事な用なんじゃないの?」
「そう思うなら出ろよ」
「やだよ、怖い」
「だよなぁ。怖いよなぁ・・・。でも、二回目ともなると、さらにこんな時間・・・。何か緊急事態だと思わね?」
「そうか?」
「いやいや、だって一般常識でこんな時間、霊か犯罪絡みしかねえだろ!!」
「そうなの?」
「あっ!!そうか、今おれっちの電気が燈ってるのが外から見えて、何かしらトラブルを抱えた人がそれに気づいて助けを求めて・・・」
「それは考えすぎだろ~」
「いやいや、でも何か面白そうだから出てみるわ!!」
結局僕は恐怖より好奇心が勝り、ドアを開ける事とするのですが・・・
「あっ、こんばんわ!!私、すぐそこに住んでる山田(仮)って言うんですけど、聖書の・・・・」
「う・・・
マジで怖かった。鳥目のせいでよく見えなかったけど、玄関先に立っていたおばちゃんの目がイッちゃってるようにしか見えなくて、本気で恐怖・・・いや、狂気を感じた。
『夜中の一時半に笑顔で聖書を配りに来るおばちゃん』
恐怖だよ。このキーワードは恐怖以外のなにものでもないよ。そりゃ普段温厚な僕でもさすがにビビって語気を荒げてしまうよ。
「あ、あなたねっ!!今何時だと思ってるんですか!!」
「えっ・・あっ、ごめんなさい、寝てたかしら?」
「寝てたかしらって・・・だから、今何時だと・・・」
「これね、聖書について書かれてるから、もし良かったら・・・」
しかしそんな僕のことなどお構いなしに、聖書のうんたらかんたらという冊子を僕に強引に手渡そうとするおばちゃん。
(あー、これ確かエ○バだったような・・・。なんだ?配布ノルマが進まなくてこんな夜中に活動してんのか?いやいや、でもこの時間に・・・・ いや、だからこそこんな切羽詰まった時間にも関わらず・・・?)
様々な考えが頭を過ぎりますが、もう僕の頭は恐怖に支配されていて・・。この冊子を受け取ったら呪われるんじゃないかと、黒ミサ?黒魔術?とにかく恐ろしくて関わってはいけないと脳が警報を鳴らしておりました。
「いいですから!!」
「いや、でも・・・」
「いいですから、それじゃあ!!」
バタンッ!!!
有無を言わさずドアを閉めた僕。
「マジ恐ろしいわ…。あれが妄信者というヤツなのか…」
「何?宗教の勧誘だったの?」
「ああ、狂ってるよな。こんな時間に」
「そうか?別に普通だと思うが・・・」
「え?」
違和感の正体。改めて時計を見直すと誰がおかしかったのかようやく気付くのでした。
コメント
チリ・・そろそろ始まりますな!^^
なんか既視感がある話だ…
そのおばちゃんに付き添いで美少女がいれば少しは話を聞く気になれたのでは?
最近DVDの見すぎで3時間しか寝ない生活が続いております。
仕事休みたいなあ(´・ω・`)
毅然とした対応で正解だったのかもしれませんねw
>>( ・ω・)y-~~~~さん
チリおめでとう!ですね^^
ミスタードリラーワロタww
>>kenjiさん
昔酔っ払った時にY君に説教したけど元を正せばオレが悪かった、という話かもしれない。確かに似てるお。
>>椰子さん
>そのおばちゃんに付き添いで美少女がいれば少しは話を聞く気になれたのでは?
あーでも実際、宗教関係の訪問ってそういうパターン少なくないですよ(;^ω^) 僕基本的に暇なら話聞くタイプなんですけど、今回は恐怖でそれどころじゃありませんでしたw
DVD休暇を申請してみたらどうでしょう?長い休みが頂けるかもしれませんよw
>>ゆとりんぐさん
無意識にNOと言える日本人キタ(゚∀゚)!