・CASINO編その1
「さて、どうしましょう」
「ブラックジャックが一番控除率低いらしいですよ」
「へ~」
僕は長年こんな生活をしてはいるが、別段ギャンブルに造詣が深いわけでもない。例えば競馬も競輪もよくわからないし、知ってるのはパチと麻雀だけである。つまりCASINOに来たはいいが、何をやったらいいのか全くわからない状態。
このカジノには「ポーカー」「スロット」「大小」「BJ」「バカラ」「ルーレット」「クラップス」、その他名も知らぬテーブルゲームが三つ四つ…、大まかにここらへんのテーブルが並んでいるが、無論どれも正式なルールなど知らない。ギリギリ何とかなりそうかなというのが「BJ」と「バカラ」に「ポーカー」ぐらいだけど、それもせいぜい漫画で得た知識程度のものしかない。スロットは…遠隔、恐いよねw
ビギナーズラックという言葉も世にはあるが、基本的にはルールを知らないでギャンブルをするなど負けにいくようなものである。ましてやここは異国の地。わからない事を聞こうにもまず言葉が通じない。
(こんなんで勝てるわけが無い!!!)
…と一瞬真剣に悩んだんですが、よく考えたら別に勝ちに来てるわけじゃなかったし、どうしても勝負しなきゃならない類のものでもない^^;そう、これは娯楽なのだ。
どうにもパチプロ根性が抜けきっていないというか、僕の人生における「ギャンブル」との戦いで娯楽気分で挑んだことなどほとんど無いためか、真剣に考えすぎてしまったようだ。
(とは言え、やるからには負けたくない。とりあえず“見”だな(キリッ )
まずは会場を見て回る。このカジノ、フロアの規模としては静岡に1000台設置の大型パチンコ店があったんだけど、感覚的にそれぐらいの広さであった。遊戯スペース以外にフードフロアとライブスペースもある。
すんごい大まかに図にするとこんな感じの作りになっている。中央にライブステージがあって、ここでは常に何かしら生演奏をしている。ステージで区切られた右フロアにはスロットや自動ルーレットのようなディーラーがいない無人機コーナー。左フロアには各種ディーラーが担当する様々な遊戯テーブルとなっていて、図で見ると少ないと思われるかもしれないが実際は数百のテーブルと数千のスロットルマシーンが置かれている。そして壁面には両替所、換金所、軽食コーナー、サービスカウンターなどが並ぶ。所々に水やコーヒーのセルフサービスコーナーもある。
そうそう、カジノと言えばバニーガールを僕は連想してしまいがちなのだけど、残念ながら今回行ったカジノにはいなかった。代わりと言っては何だが、女性ディーラーはたくさんいた。男女比率で言うと6:4ぐらいで女性ディーラーの方が多い。
特に、ディーラーの動きや両替チェックなどをする「現場責任者」のような上司風の黒服が4テーブルに一人ぐらいの割合で付いているのだけれど、そこに関しては圧倒的に女性の方が多かったのは後にフィリピン文化を知れば知るほど納得である。日本にカジノが出来たらこうはいかないんだろうなぁ。
*図の赤印の場所からステージ方向に向けて隠し撮りした写真。通常カジノは撮影はご法度らしく、見つかったら事務所行きとの噂も・・。良い子は真似しないように!
それから規模は少し小さくなるが、2階、3階と各フロアにもカジノがあって、実際に確認したわけではないけどレートが上に行くほど大きくなっているように思えた。空気も少しばかり違う。1階では見かけなかったカジノにお馴染みのコールガールも上の階では見かけたし、多分1階はビギナーや観光客向けで、2階3階は玄人向けという風に棲み分けされているのであろう。
3フロアの合計で310のテーブル、そして1728台のスロットマシーンがあるらしい。
ちなみに、一番大きな1階フロアのミニマムレートは100pisoから。とはいえ、これはゲームよってレートの質が全く変わってくるので、一般的には大体300pisoぐらいからという認識でいいだろう。日本円にして700円弱。安い気もするが、ゲーム自体は一分もかからず終わるものがほとんどなので気付くと結構なくなってたりする。ましてや「ミニマム」なので、最低レートをちびちび賭け続けるような遊び方をする人も少なく…投資スピードはパチンコの比では無い。
2階に上がるとミニマム10000pisoなんて卓も見つけた。最低2万円ちょい…って、なんだ?こっちに来て金銭感覚が凄く麻痺し始めているので恐ろしくてチビりそうな値段に聞こえる。実際高いんだが。
(ふ~~む)
よく考えるとルールどころか、卓上でのマナーもよくわからない。マナーってのはあれだ。チップの賭け方やらディーラーへの何かしらの要求とか、降りやダブルアップの所作なんてのもイチイチ考え出したらキリが無い。パチンコで例えるとコインの借り方やエラー時の店員の呼び方、コインの流し方やドル箱がどこに置いてあるのかとか、そういう一切合財がわかっていないという事。不安どころかある意味迷惑な客だ。
・・・が、男は度胸。漫画で見た知識でいっちょ行ってみっかとバカラを選択。
(前から一度絞ってみたいと思ってたんだ!)
絞りとはバカラ特有の動きでカードをめくる際、端の方から少しずつ覗き込んでいく所作を言う。カードの大部分を隠し、見えてくる絵柄の種類・数を段々と判明させていくこの動きは、絞っている人間は望むカードの出現を祈り、同時にその挙動や表情を見て周りの人間はめくられるカードを予想する事で結果が出るまでの「間」を楽しむための演出となる。
この絞りを行う権利は大抵がバンカー、プレイヤーそれぞれ一番チップを積んだ人間に委ねられるもので、大金が賭かった際の絞りに集まる注目度は凄まじいものがある・・・と昔漫画で見てほうと感心したものだ。
何よりこの絞り、写真のようにトランプをひん曲げる勢いでギリギリと折る。だからこの動作をすると次回からトランプが使いものにならなくなるため、仲間内で遊びでやるにはちょっと抵抗があるわけで…しかし、カジノはトランプ一回交換が普通なので心配せずにひん曲げられる!!
(俺はこれでもかってぐらいひん曲げたいのだ!!!)
これぞカジノという熱狂を味わうならまずこれだろうと、僕はこのゲームにカジノ童貞を捧げる事にした。
「ん?」
「どうしました?」
「いや、あのテーブル、やけに盛り上がってるなぁ~って」
テーブルの周りに人だかりが出来て、立ち見客で賑わっているテーブルがあった。見渡すと全く客のついていないテーブルや、こちらのように立ち見客がいるテーブルとの温度差が激しい。近づいてみると中国人の一団なのか?かなり熱くなってるようで、歓声怒声が入り混じっている。
(さっそくチャンスが来たかッ…!)
僕はバカラをやるにあたって、ある戦法を一つ考えていた。バカラのセオリーは知らないが、これでも博打のセオリーは少しは知っているつもりだ。時に偶然ではあるが、その戦法はこのバカラとは非常に相性がいいはずである。
(ですよね、先生!?)
YES!逆張り!!
人だかりが出来ている熱気のあるテーブルは、大体にして「偏り」こそがその原因となっている事が多い。偏りとは即ち、一方的な目が続いていたり誰かが連勝していたり… すると当然その逆も言えるわけだ。
単なる丁半博打を単なる丁半博打じゃ無くす要素。それが事象の偏り!!ある者はそれをムラと呼び、ある者はそれを流れと呼ぶ。
(行くぞ。俺はこの中国人共を利用してのし上がるニダ!!)
・・・・
・・・
・
(UMMMM・・・)
やってみると、初めのうちは勝ち勝ち負けのペースでうまく行っていたのだが、なにぶん賭け金が薄いので勝ちの数が上回っても大した浮きにならない。やはり博打は張りの濃淡こそが奥義よなとばかりに大きく張っても勝ったり負けたり。どこまで行っても偶然の域を出ないし、バカラらしく行ったり来たりの展開が続く。偏り?なんですかそれは。
というか、しばらくして気付いたのだがこのテーブルには阿佐田先生のお弟子さんがたくさんいるらしい。どうにも張りが片一方に集中するのだ。バンカーが続くとバンカー、プレイヤーが続くとプレイヤー・・・というのは自然な流れだけど、それよりも熱くなって負け続けている人がいるとその人がチップを置いた後に反対側に置く人がやけに目立った。
「みんな考える事は一緒なんですねw」
「海外にも落ち目の逆を行け的な教えが浸透してるんですかねぇ?」
それともこれが鉄火場の鉄則というやつで、阿佐田先生もむしろ極々当たり前のセオリーを語っていただけなのかもしれない。それにしてもやりすぎると睨まれたりして嫌われるので程ほどにしておいた方が良さそうだが^^;
(しかし見様見真似でも何とかなるもんだな)
勝敗はともかく、当初心配していたテーブルマナーは、まあ周りを見て右に倣えでチップさえ置けば後は勝手にディーラーがやってくれるし、配当金も周りの人が親切に『絶対』ネコババなどせずに間違い無いよう教えてくれた。不思議なぐらいこの空間の民度は高い。富裕層の社交場だからなのか、それとも見つかった時にキツイお仕置きが待っているのかは定かではないが…
何度かチャレンジして絞り方も大体わかった。縦に絞って横に絞って、首をかしげて仏頂面してればとりあえずそれっぽく見える。全てを大げさにやるサービス精神も忘れてはならない。
「Hi you!」
「!?」
驚いたのは、何度か勝ちを重ねてチップが厚くなってくると、一番チップを積んだわけでも無いのに本来の「絞りの権利を持つ人」が何か僕に話しかけてきてカードを渡してきたことだ。
これは乗ってる人にカードを捲らせたい、幸運にあやかりたいという事なんだろうけど、なかなか責任重大。誰が捲っても同じなのに、負けると何だか気まずい空気が流れるし、でも勝つと同陣営の人達でハイタッチなんかかましたりして最高に楽しい。“今の”パチンコ屋じゃ味わえないお客同士の仲間意識のようなもの、これから何度か経験する事になるけど、このCASINOならではの空気が僕は非常に気に入った。
これら連帯感や対抗意識など、様々な思惑が絡み合う事で『熱気』を生み出すのだろうな。
「しかし勝てませんね」
「どこまで言っても運ゲーっすわ」
道中玄人っぽいオッサンがディーラーに何かを貰ってメモし始めたのだけど、どうも出目表らしい。僕らも真似して付けてみたが… 意味あんのかね?わかっちゃいたけどこのゲーム、とてつもないオカルトの温床。
だが、このシンプルさとオカルトこそバカラがカジノの王様と呼ばれる人気の秘訣なのかもしれない。
(シンプル&オカルト)
…キーワードが海物語と一緒なのは偶然じゃないんだろうね。
to be continued →
コメント
BTooMっての期待してなかった割に面白かった(´・_・`)切りがよいので12までつい読んでしまったわ。ヒロインとライバルがしっかりしてるからかなぁ?後は笑いの要素があればブレイクしそうなのに。どう?
状態の悪いリーマンの横に履歴や釘無視で座ればスロもパチも大勝間違いなしですなw
ところで、平日には設定入らない日が増えました。
抽選にある程度人が集まれば設定使うんですが、パラダイス期間は終わりましたね。
ボッタ店のリニューアルでメール煽りもあまりできない時代ゆえに美味しい状態でしたが、各機種6入りが看板機種のみ6入りになり、その6が4や5になるいつものパターンですね。
おそらく近いうちに旧イベント日にも6が入らなくなるんでしょうね。
6を入れて客が付くよりもベタピンの方が楽に利益が得られるって話もありますし、仕方ないですね。
ハロワでも行くかな。
カジノのスロットって、ゲーセンのメダルゲームコーナーにある全く面白くもなんともないシンプルなやつを連想してしまうのですが昔の4号機とかカジノに設置する事とかできないのかなあとかちょっと思ってみたり。
北斗とか銭形が設置されたら設定1でも金突っ込みそうな俺ガイル。
なお、徹マンは負けましたが帰り際に馬券買ってパチンコ打ったらどちらも勝つという奇跡を体験できました。
やったぜ兄貴!
今週末にスマホデビューし、プロレス観戦デビューも果たしました。
まだまだ知らないことはたくさんある!!
好奇心や探求心が年を重ねることに増していて、人間諦めなければいつまでも成長はできるんだと実感しています。
umi氏の定期的に環境が変わっていく人生は凄いと思うんだな。
冥王に身ぐるみはがされてフラフラになりながらパチコードギアスに着席したらお座り1発1万発!ギアス最高や!C.Cフィギアがクソとか演出バランスがクソとか色々あるけど大好きです!
一度でいいからやってみたい、青い顔したディーラーに倍プッシュ。
バカラか・・・・。
僕はそこで、本当に持っている人と持っていない人がいることを悟りましたよ(笑。
ちなみに僕は持っていませんでした。
ゲロ負けして、もうやらないと誓った23才のあの日w
うみさんのように生きたいと思うのもきっと無い物ねだりなんでしょうね(笑。
今さら家族と仕事は捨てられないw
この旅行記、面白いは面白いんですが
長い!!
>> ( ・ω・)y-~~~~さん
初めて聞きました!なんか画像検索したらヒロインがいちご100%の西野さんに見えるなぁ
>>武器屋さん
悲観しなさるな。どこにでもある、それこそ何百回と繰り返されてきたことじゃあありませんか。何だかんだで何とかなる人が残るし、駄目な人は去るのみですYO!
>>椰子さん
日本のパチンコ屋に置かれているスロットは技術介入要素があるからこそ海外(カジノ)のスロットと一線を画していたわけで、その原則を無視したら「遊戯機」としての本分が何だかわからないじゃないですかw残念ながら未来永劫カジノにパチスロットルが置かれる事は無いでしょうね('A`)パロットなら或いは…!?
ゲーセンのスロットは確かにつまらないですが、もしかしたらパチ屋のスロットが面白すぎるのかもしれません(゚∀゚)!!
徹麻開けに競馬にパチとかフルコースすぎて何も言えないw
>>のっぽさん
あ、偶然!僕も本格的にスマホ使えるようになってラインに驚いてる最中です。すごいですよね、スマホ!プロレス観戦も今はわからないけど、いずれ面白く見れる日が来るのかなー。昔わからなかったものが、歳とともに理解できるようになるって感覚は凄い好きです。駅伝や大相撲とかもいつかはかじりついて見る様になるかもしれないw
umi氏の環境って、変わってるようで実はそんな変わってなかったり^^;嗜好は間違いなく変わってますが、そのせいでそう見えるのかもしれません
>>ヨシホイさん
ギアスは時代が悪かった。8個保留を備えていても使う場面がない調整ばかり><
ディーラーはね、不機嫌にはなるけど青い顔にはならないと思うよ。裏カジノとかならわからないけど、表の大きいカジノじゃワンテーブルの負けなんてたかが知れてるもんね。それよりミス(ルールや配当など)の方が彼らは恐いんじゃないかな。後ろで常にチェックされてたっぽい
>>緋色さん
う~ん。持ってる持ってないも少なからずあるんでしょうが、結局のところ資金力の差じゃないっすかね?どうせ永くやれば落ち着くんだし・・・ ああいう丁半博打は長い目で見ないと><
大会などだとその限りじゃないんでしょうけど。
何にせよ、ゲロ負け出来るぐらいの大勝負をした時点で天晴れじゃ!僕は多分あのゲームじゃ大金は賭けられないなぁw
うみさんのような生き方はいつでも出来るので家族を大切にしてくださいな^^
>>一男太郎さん
そこに気付くとはやはり天才か…!
そろそろ期間工物語を完結させて欲しいッス。
最近大浴場にスポンジかと思ったら…
>>キカンコーさん
お?もしやリアルタイム・キカンコーさんか?落ち着いたらといってもう何年経ってんだろうなw とりあえず「今」を安定させないと>< やりたい気持ちはあるんだが
大浴場にスポンジかと思ったら…カマンベールチーズでしたに一票!