・3日目 その2
ベンメリア遺跡から出るとちょうどお昼だったので、ソッケアおすすめのレストランで昼食を取る事に。
今回ソッケアとは一日35ドルの契約で遺跡周りをしてもらってはいるが、こういう一日ガイドの場合は昼食代ぐらいは出してあげるのがマナーらしい。無論、チップとは別に。
南国定番ココナッツジュース。驚くぐらい水…というかジュースが入ってる。隣にかの国の団体客がいたのだが、これまた驚くぐらいマナーが悪くてなんだか安心&ほっこり。やっぱ君らはそうでなきゃね。
腹ごしらえをすますと、また長時間ドライブが始まります。郊外すぎて遺跡以外は何もないのだ。
道中、集落の中にポツンと聳え立つやけに立派な建物があり、ソッケア曰く「これは学校なんだ。日本の人達が建ててくれたんだよ」との事。遺跡修復工事の話を聞いた時もそうだったけど、こういうのって何もしていないのに聞くだけで誇らしくなる。ニッポン、バンザイ。
「現地のJ・Cだぜ!イヤッホゥゥ!」
「・・・」
ベンメリアから一時間ほどドライブして到着した寺院。一応郊外遺跡ツアーとしてのルートもあるようで、今回ソッケアはそこを周ってくれているらしい。よくあんな標識も何も無い場所でスイスイ来れるものだ。この遺跡も名は知らないが、一応ソッケアが連れて来たって事は有名所なのかね。
ここは今までの寺院と毛色が違い、印象としてはタイやインドを感じさせる作りになっている。仏教系寺院なのかな?
寺院内部は隙間無く壁画で埋め尽くされていて、中にはお釈迦様らしき人物が各地を彷徨い教えを説いていくストーリー上に…ってなんだか随分とっぽい寺院だなぁw
放浪の末、遂にはオーラを纏うまでに成長したお釈迦様(?)。傍らには何ヶ国語かに通訳された募金箱が置いてあったが、さすがに観光客を意識しすぎじゃないw?
この後、郊外ルートに沿って僧の宿舎?修行場?総本山?みたいな寺院へ行ったり、
いつもの石造りのヒンドゥー寺院を何個か周り(贅沢な話だが既に新鮮味が薄れてるw)、ぐるっと一周してシェリムアップに着くころには夕方になっていた。
「最後に面白い所に連れてってやるよ」
ソッケアはホテルへ戻らずある場所へとトゥクトゥクを走らせる。
街外れの市場はすごい賑わい…も、目的地はここでは無いらしい。
だんだん建物が減ってきて辺鄙な住み難そうな土地へとやって来た。
「恐らく湖に行くんじゃないですかね」
「湖??」
「ええ、たしか有名な観光スポットがあったような」
ふむ。そういえばこの足場の形は水場によく見られるものだった気がするが…??
「着いたぜ!」
ご名答!この日の最終観光地は「トンレサップ湖」という東南アジアで一番大きな湖で、ここではとても珍しい光景が見られるのだそうで…
お世辞にも綺麗とは言えない湖…?河に見えるが湖。
「ヘイ!こっちだ」
小さなボートに乗って湖を一周するのだそうだ。料金は一人20ドル。一時間半ほどのツアーらしいが、それにしてもこの国の物価を考えると相当高い。
(あれ?他のお客さんは乗せないんだ?)
夕刻で最終便だったこともあり、客は僕らだけの貸切状態。とういか、船がたくさんあるので相当混んでない限り一グループ単位で案内するのだろう。
というわけで船に乗ったら、あとはやりたい放題。案内人の裁量次第だと思う。
「おい、こっち来てみろよ!」
「いいの?」
「いいさ」
船頭と打ち解けると、さっそく舳先への移動が許された。
「俺の名は『チャン・ヌー』。ヌーって呼んでくれよ」
物凄くラフでフレンドリーな船頭さんだ。運転手の人は英語が話せないらしく、ヌーの通訳付きで会話に加わる。二人とも僕らとそう歳が離れていないように見えるのもあって、すぐに仲良くなった。
「ところでおまえら中国人?」
「いいや、日本人」
「OK!」
こんな会話が初めにあったのはご愛嬌。
河のように見えるけど湖です。左側が本土。右側は土が積もってできた中州らしい。
そして、そこに住む人もいるのだそうだ。
しかし、このトンレサップ湖の見所は中州の住人ではなく…
なんと、水の上で生活する人々!!そしてその集落。日本人にとってはかなり馴染みの薄い水上生活を見学できるツアーなのである。
ここで生活する人のほとんどはベトナムから移住してきたか又はその子孫。ベトナムはカンボジアの隣国ではあるが、どこの世界も隣国とはそう仲がよく無いのか()、差別や偏見が激しいらしく、結果この水上生活を余儀なくされているとか何とか…
「ただし、観光客が落とすお金で相当裕福な人達もいるよ。一等地に店を構えてたりね」
「一等地?」
「ああ、こういう俺らの船の通るルート沿いに店があったりとか、この湖の中でも観光客相手に上手くやってる場所があるんだ」
「ふーむ」
差別されてここへ追いやられたのに、この中でもまた格差が生まれるんだなぁ…
とか何とか言っていると、船は突然ある売店へと停泊する。ヌー達が何か買うのか、それとも売店の様子を見てこいという事かな?と思っていると…
「これからこの水上生活で貧困にあえぐ子供達の学校を見学するので、彼らにおみやげを買っていこう!」
突然そんな事を言い出すヌー。とりあえず促されるままに店内に入ると、店主が恭しく手をコネながら、それでも神妙な面持ちで一言。
「おみやげには、米が…喜ばれます」
ちなみに米は50ドルだw 高杉晋作。
「I have no money><」
即座にカンボジアに来て何度使ったか覚えていない必殺単語を繰り出す。すると店主は
「アナタ達次第ですので、好きにしてください」
などと一度は言うものの、
「ではこちらのカップヌードルではどうか?」 (40ドル)
一向に引き下がろうとしない。どうしてこんな押し売りみたいな事をされなきゃイカんのだと思いつつも、ここは水上。逃げられない。あれだけ道中仲良くなったヌー達も、そそくさと船の方へ行ってここぞとばかりに知らん振りをしているし…
(オラ、段々腹が立ってきたぞ)
と、ちょうどここで同じタイミングで日本人観光客と思われる一人のオッサンがこれまた連れられてきて、キョロキョロとどうしたものかと迷っていた。聞くと、やはり我々と同じように突然連れられてきて何かおみやげを買えと言われたそうな。
「これ、店ぐるみの詐欺…というか、戦略なんでしょうね(‘A`)」
「あいつらのいいようにされちゃあ不愉快ってもんですよ」
「ここは日本人らしく遺憾の意を示しましょう」
と言うわけで、我々は策略にははまらんぞとばかりに強気の態度に出る事にした。
「どうやら我々は力になれそうもありません。それでは」
すると店主は慌てて
「ではこちらのお菓子の詰め合わせではどうか?」 (15ドル)
「実はカップヌードルは小さいのもあるんだが」(20ドル)
よくもまあ「アナタ達次第だ、好きにしろ」などと言えたものである。結局、面倒くさくなってカップヌードルを買う事にするも、最後の抵抗でゆうたさんとの割り勘だ。おっちゃんは文句を言いながら米を買わされていた。かわいそうだけどおっちゃんに義理はないので勘弁してくれ。
「ジャパン・シンガポール・インド・タイの人達は何だかんだで買ってってくれるけどさ、中国人はマジで絶対何も買わないし怒り出すからなー。あいつらマジで嫌い」
おみやげを買わされた僕らを船に乗せ、あっけらかんとヌーは言う。
(なるほど、冒頭の「おまえ中国人か?」ってのはここに繋がるわけか…)
悔しいけど策略どおり怒り出せない日本人です、はい。
てなわけで、強盗水上バスツアーのような様相を呈してはきたが、いよいよその総本山である学校へ。
到着するなり先生へおみやげを献上イベントが発生。相手も貰い慣れているのか米が良かったのか、あまり感謝も見られないw
「なあ見ろよ!ここに米を貯蔵してるんだぜwwwwww」
教師の目を盗んでヌーが無邪気に僕らに舞台裏を見せてくれたが、そこにはどれだけ『援助』させたのか、物凄い量の米があって苦笑い。
「これはあまり観光客には見せないほうがいいと思うよ^^;」
「え?そう?」
「(;^ω^)うん」
どうもヌーには罪悪感というかそういう意識が毛ほどもないように思える。船のツアーの一環にこの強盗学校見学が含まれてるだけで、悪意あっての事ではないんだと思わされる行動だ。というか、ヌーにそこらへん突っ込んで聞いてみると彼はかなり真面目にこの取り組みを支援しているらしい。
あくまで、彼は。
(この見送りの人数も、おみやげの質・量によってグレードが変わるのかな…)
「さあ、飲め。俺のおごりだ!」
学校から出ると、ヌーはまたも売店へ行きビールを大量に買い込んできた。僕らが最後の客で、もうおまえらならいいだろうって事で飲もうと言うのだ。運転手の兄ちゃんもグビグビ飲み始め、飲酒運転上等というかこのおおらかな感じが異国を匂わせ大変よろしい。
こっちのお酒は度数が高いものが多く、それをかなりのハイペースで飲み続けたのでかなり酔ってしまった…
ツアーの最期は屋上デッキからの夕陽の鑑賞…なのだが、生憎の天気でこの日は拝めず。ちなみにこういう施設を持つ売店が所謂ここでの富裕層らしい。
このあとさらに売店によってビールを買って飲んで飲んで飲んで… 運転手もへべれけなので船の進行がかなり緩やか。結局1時間半ぐらいのツアーの予定が、ソッケアの待つ船乗り場に着くころには二時間半も経っていた。
「楽しかったぜ!これ、俺のFB(フェイスブック)のアドレスな。また来ることあったら連絡くれよ」
ヌー達とはすっかり打ち解け、連絡先の交換もして、ではいよいよお別れという段。
「ゆうたさん、チップいくらにします?」
「うーん、多いですけど一人10ドルぐらいずつあげます?ビールもかなり貰っちゃいましたし」
「そうですね。」
てなわけで、相談の末10ドルずつチップを渡すことにしたのだが、
「あいつにもあげてくれよ!」
ヌーは一人で20ドルを受け取り、さらに運転手の分まで請求してくる。
(うーん。ビールの件もあるしなぁ)
すごい下種な勘ぐりだけど、今思うとこういう空気にするために必要以上に飲ませてたのかなとか思っちゃったり…^^;
結局、運転手にも10ドル渡し合計30ドル。さらに道中カツアゲにあってカップヌードル代を20ドル(割り勘で10ドルづつ)取られているし、ツアーの代金が20ドルのはずなのに終わってみたら約50ドルも失っているという恐ろしい観光になってしまいましたとさ。
「あ?おまえらトゥクトゥクでしょ?俺も途中まで乗っけてってよ^^」
この後ヌーは僕らのトゥクトゥクに途中まで乗って交通費を浮かせたりと、逞しさを感じずにはいられません。天職なんだろうなぁ、きっと。
「旦那方。夕食一緒にどうですか?」
「??いいけど」
この後、なぜかソッケアが夕食に誘ってきて、連れて行かれた先はキャバクラ?だった。
しかし日本のキャバクラと違いちゃんとした料理も出てきたのでどちらかというとスナックという方が正しいのかもしれない。
ただ、ここは地元向けのスナックなのでホステス達はクメール語しか話せない。それでもどこで覚えたのか、「カンパーイ」だけは言えるので会話に困ったら「カンパーイ!」と… この日、何回「カンパーイ」が鳴り響いたかわからない。
ソッケアだけがひたすら楽しそうに飲んでいた。
ちなみにこの日は娘の誕生日だ。結婚が決まり家族になる大事な娘の誕生日に僕は一体何をしているのだろう。とりあえずカンパーイ!
to be continued →
コメント
普通にグルで
キックバックもらってると思いますよ
じゃないと観光ルート変えたりできそうですし…
一番の金持ちはこういう人たちかもしれませんね…まさかですがAKもグルなんじゃ…
店ぐるみのというか善意につけ込んだ商法ですね;;
船酔いが酷いので船の上でビールは吐きまくる自信がある
今日何気なく収支表みたら8月28日時点で稼働日数24日になっててびっくり
サラリーマンだから平日は夕方からなので若干ヌルいですが日数でいくと多分過去最高です
高稼働だから収支がよかったのか収支がよかったから高稼働だったのか・・おそらく後者ですw
困ってる人がいたらついつい
助けてあげたいと思うのが人情ってもんですが
こうもあからさまに他人の善意を食い物にしようってのがなぁ…
この安易な善意がこの人達の乞食根性を育ててしまったのかと思うと
あげる方にも責任があるなと思う今日この頃w
先週東京行ってきたんだけど寒かった。。。
日比谷公園で時間調整でぶるぶる震えていたのはわたしです(´・_・`)
>>kenjiさん
船の管理してる会社はグルかもしれんけど、ヌー(船頭)個人としてはそういう感情ないのかも・・・って思ったのよ。ルートは会社でやってりゃ変えられないしね。
さすがにトゥクトゥクまでグルだったら面白いなw
>>ヨシホイさん
舳先が気持ちいいので思ったより酔いませんでしたYO!
八月は盆などで稼動日数上がったんすかね?高稼働の理由として後者は確定としてw、収支が良いと高稼動になるのは気持ちすごいわかるなぁ。気持ちに余裕が出来てさらに良い動きが出来るようになるんですよねぇ。
月が変わると気持ちも入れ替わる罠。お気をつけて^^
>>ダンデさん
安易な善意といいますが、あれは中々断りづらいもんですよ^^;
つーか、どう見てもあの学校の生徒が貧困に喘いでいるように思えないんだよなぁw
>>( ・ω・)y-~~~さん
なんかここ数日異常に寒いですね。代々木公園に行かなかったのはツイてましたね!