10/2  足してダメなら引いてみろ

担々麺がいつの間にか流行り出しどれぐらいの時が経っただろうか。うまいよね。序盤、中盤、終盤隙のない旨さ。自分も大好きなのだが…敢えて誤解を恐れずに言わせて貰う。

それと言うのも冷凍食品。


【冷凍】日清 日清具多 辣椒担々麺 X6袋

コンビニやスーパーに置かれている担々麺の出現で確信してしまったのだ。

下手なお店なんかよりよっぽどうまいこの冷凍食品らを見るに、やはりというか担々麺という料理は誰が作ってもそこそこの味になってしまうのでは…?という長年の疑問にYESと投げかけられた気がしてならなかった。

然るに担々麺は肉味噌と胡麻のうまみがほとんどなので、そういう意味でこの二点さえ抑えておけばよほどの事がない限り「担々麺」になってしまうという事なんだと思う。

それぐらい肉味噌=甜面醤と胡麻、ラー油の組み合わせが絶妙すぎて…しかし、だからこそこの組み合わせに縛られている担々麺はどこまで行っても味に差が付き辛いという論理である。

…これまでの意見はあくまで私見というか「過去の自分の」偏見なので悪しからずw

ここ行ってみたいんだけど

ほう…担々麺専門店ねぇ

そういう思想背景があったものだから、はじめ妻からの提案にも適当な相槌を打っていた。さして期待もせずにお店へと行ってみたとここに白状する。

ん?ここってチビが食べられるようなメニュー無いのかな

そういえばそうだね、強いて言えば焼き饅頭っての…多分餃子みたいな奴かな?

さすがに担々麺はデブにゃんには辛いよな~

メニューを見ながら娘二号の食事をどうしようか相談していたその時だ、聞き耳を立てていた店員さんがこんな事を言ってくる。

それでしたら、ラー油とマー油を別にして辛くない担々麺をお出しすることもできますが?

へぇ、じゃあ僕のはそうしてください

ラー油とマー油?を抜いた担々麺ってどういうものなのだろうか。期待していないので何でもいいよという思いで、よくわからないままその提案を受け入れる。

すると出てきたものは白濁した…白湯スープ?

なるほど、そういえば担々麺ってラー油の赤さの下にこの白っぽい謎のベース部分があったっけな。あれって白湯スープなんだ?

 (そういえば昔好きだったドラゴン坦々は、確かこの部分が豚骨ベースだったんだよな?)

懐かしい思い出がよみがえる。そうか、そう考えると担々麺もまだまだ変化の余地というか、工夫できる部分はたくさんあるのかもしれない。

それはともかく、目の前の白湯スープだ。一体この状態だとどういう味になるんだろうか。

一口すする…

……うーん。

クリーミーな何かである。確かにこれならデブにゃんも食べられるだろう、まずくはないが、何かこうパンチがないというか…そう、味気ない。

半分ほどデブにゃんに取りよそってやりながら、本来の味はどうなんだろうと思いを馳せる。生憎妻は別系統の担々麺を頼んだので比較は出来ない。

程なくデブにゃんが満腹になったのを見計らって何の気なしにラー油を加えてみる事にする。…これで本当に担々麺らしくなるのだろうか?

正直この段階では何も期待してはいなかったのだが…

驚いた。

よくグルメ漫画で「それではこのソースをかけてみてください」「ふんっ、こんなソースで一体何が…なっ!!??」「・・・( ̄ー ̄)ニヤリ」「何だこれは!?こんなソースを加えただけで、今までとは次元の違う味にっ!?」

みたいに驚くようなシーンがあると思うが、僕は見るたびそのような衝撃体験をしてみたいものだと常々思っていたわけで…これだ!正しく今、眼前‥いや、舌前でその味の化学反応が起きている!!

ラー油を加えただけで味気ないスープがはっきりと「担々麺」になったのだ。

あんた、この「マー油」?ってのも入れなよ

ま、まさかさらにこの「先」があるのか…ッ!?

感慨もひとしおに妻が促す。そうだ、まだラー油のほかに黒いにんにくでも刻んで炒めたような「マー油」なる調味料もあったのだ。

これはよく熊本ラーメン等に入ってたりする香ばしいアレだろう。味の想像はつくのだが、果たしてこれを眼前の担々麺に加える事でラー油以上の変化が起きてしまったりするのだろうか(・∀・)!?

恐る恐るマー油を加えて…どうだッ!!!!???

 (…ッ!!!!)

先ほどラー油を加えて「担々麺」になったところに、さらに複雑なうま味が増したのを認めざるを得ない。例えるならラー油で点が線になり、さらにマー油を加える事で線に奥行が加わった感じ。

味の次元上昇や~!!

ラー油を加えた段階で「担々麺」になったということは、逆に言えばやはり担々麺とはラー油の味なんだと言い切る要素にもなりえるのかもしれないと…その浅い考えを見事にマー油がぶち壊してくれた!!料理はそんな単純なものではないと頭を引っぱたかれた感じ。

月並みだが、「足し算ではなく掛け算」を体現したような味の化学反応がそこにあったのだ。

調味料でここまで変わるたぁ驚きだ

初めっから全てが入っている完成品の担々麺を食べていたらこうはならなかったろう。敢えてラー油やマー油を抜いた状態で来たからこそ、この変化を楽しむ事が出来たのだと思えば何という貴重な体験だろうか。

店の心遣いに感謝…というよりはデブにゃんの存在に感謝かなw

考えてみれば世にあるおいしい料理のほとんどが、これら「組み合わせの妙」によって成り立っていると今更ながら気付かされる。カレーにローリエを入れるのだってそうだし、味噌汁に出汁をいれるのだってそう。

別に無理してグルメ漫画のような「新たな驚き」を探さずとも、既存の料理から敢えて何かを引いてみる事で味の化学変化を堪能する事は可能なんだなw

コメント

  1. 三重県人 より:

    めっちゃ頑張って書いた感が伝わってくるのは気のせいだろうかw

    生きてる間にカイジの地下ビールくらい涙の出る食体験がしてみたい

  2. のっぽさん より:

    昨晩自家製シューマイが「味が薄いかも」と一言添えられて食卓に出てきたのですが、具のメインが鶏肉でそのまま食べたら味が薄いどころかパサついていて美味しくない。醤油を垂らしてみても絶妙に合わない。

    内心困り果てていた時にキャンペーンでもらった「ポン酢醤油」なるものをかけてみたら劇的に旨くなって驚きました。まさに将太の寿司と同じリアクションをしてしまいました。

    ポン酢醤油が旨いのか?と思いそれだけを舐めてみてもポン酢と醤油が混ざった味で特段美味しいわけではないので鶏肉シューマイとの化学反応によるものだと。

    調味料って凄いっすね。

  3. umi より:

    >>三重県人さん
    ん?どこでそう思ったのかしら(;^ω^)大負けしてたり書きたいテーマがハッキリしてる時はむしろ普段より楽です。

    カイジのビールは期間工行けばわりと近い感覚味わえますぜ旦那w

    >>のっぽさん
    いいですねぇ~、情景が目に浮かぶようです。

    最初に一言そう添えてくれる奥様もいいですね!うちは飯に文句言うとブチ切れられますからねw 黙って醤油をかけて、それでまた文句を言われて…w

    しかしポン酢醤油ですか。初めて聞いたな。ただのポン酢とも醤油とも違う何かを生み出してくれたのでしょうな、今度試してみよ(・∀・)イイ!!

  4. kenji より:

    かき氷の味は匂いだけ
    ポテチの味は粉だけ

    と考えるなら料理はすべからく調味料のみで決まるような気もします。
    オムレツとかそういうのはまた別ですけど

  5. umi より:

    まず前提がおかしいので却下w