「明日熱いイベントあるけど行くか?」
布団に包まり携帯アプリでサクラ大戦を打ち続けていた負け組同居魚に僕は優しく声を掛けた。サクラ大戦、どうせなら実機で打ちたいだろ?
すると、返って来た答えは予想だにしないものであった。
「悪いが明日は先約があってね」
「何!?女か!?」
「いや、女じゃない」
「じゃあ何だ?勿体付けんじゃねえよ面倒クセぇ豚野郎だなぁ」
まさか断られると思わなかった僕は驚くが、この後に聞いた話でもっと驚く事になる。
「・・・・実は明日は知り合いと一緒にパチンコを打つ事になっててね」
「ここ(地元)で?」
「ああ、知り合いが俺と打ちたいらしくてわざわざこっちまで打ちにくるそうだ」
「はぁ?お前と打ちたいって意味がわからんのだが」
聞けば相手の人は40を過ぎた取引先のオッサン・・・、独身。
この時点で僕はこれ以上続きを聞きたくなくなっていたのだが、ノンケの魚君は構わず話を進める。
「いや、厳密に言えば俺というか、誰でもいいから一緒に打ちたいそうなんだ」
「なるほど」
どうやらもう一人会社の同僚が来るらしい。純粋に連れパチでやんや騒ぎたいだけなのだろう。にしても社会人はプライベートまで付き合いが大変だなーと思っていた僕に魚君は更に驚きを提供してくれる。
「でな、その人、『お金は私が出しますよ、勝った分は差し上げます』って言うわけよ」
「はぁ!?」
驚いた。いくら来て欲しいからってそれはやりすぎであろう。ある意味で打ち子のような気もするが、違う。やっぱり援交の方がよっぽど近い。
「その歳で独身だろ?金が余っちゃって困ってるらしくてさー。やっぱ金だけじゃ寂しさは埋められないんだな」
翌日の勝利を確信した豚男は得意気にペラペラ語るが・・・
(なんだかキナ臭ぇ話しになってきたなぁ^^;)
僕はこれまでの人生で『上手い話など無い』と身をもって知っているため、聞けば聞くほど不安になった。・・・これ、マジで何かあるんじゃない?あっ、もしや同僚も・・・!??
(・・・でもまぁ、いっか)
面白そうなので放っておいた。
「どうせどこも釘ガッチガチなんだからみんなで1パチ行って来いよ」
「馬鹿言うな!絶対損しない勝負なんだぞ?ここは高換金のMAXタイプに決まってるだろ!」
「お前人の金だと思って無茶苦茶言いやがるな・・・、つーかよ、勝っても金は受け取んなよ?人として」
「まぁさすがに全部はね・・・。でもさ、俺が『いいですいいです』って断っても向こうも『いやいや、半分くらいは・・・』ってなるだろうしさ」
「勝てれば、ね」
「だからMAXなんだよ!!」
「やれやれ^^;」
こんな腹黒い魚、掻っ捌かれて痛い目を見ればいいのだ!!
僕は結果を楽しみに床に就いた。
──翌日。
(ふぅ・・・。今頃魚の野郎はタニマチの金でMAX三昧かぁ・・・)
電車を乗り継ぎ1時間半。僕は駆けずり回ってようやく見つけた甘デジ「華牌2」でシコシコと頑張っていた。労せず負けない勝負が出来る豚野郎を羨ましく思いながら・・・。
(ま、そういうのが寄ってくるのもある意味才能か・・・)
そうして終日打ち切った後、凍えるような寒さの中をもう一度1時間30分掛けて部屋へと帰ると、そこにはうなだれた魚君がいて・・・
「あのオッサンさぁ・・・、金の事なんてすっかり忘れてやがって」
「 m9(^Д^) 」
最高に笑顔の僕を前にして、ポツリポツリと事の顛末を語りだす。
「オッサンはさっそく席に着くんだが、俺らも金下さいなんて言えるわけねぇからさ、同僚と二人でオッサンの隣に座るわけ。いつオッサンが思い出してくれるかとハラハラしながら・・・」
「おう、それでそれで(゚∀゚)」
「でもオッサンは一向に思い出さない。それどころか、『見てないで一緒に打ちましょうよ』とか言ってきて・・・。こっちはどうせオッサンの金だと思って連れ打ちに向いた静かな○○(超ボッタ店)に入ってるってのに(‘A`) 」
「おう、それでそれで(゚∀゚)」
「○○だよ?釘が超ガッチガチなわけよ…。さすがにこれはと金を入れるのを躊躇してたんだけどさ、やがて店員に『あの・・・打たないのであれば・・』って言われちゃってね。仕方ないから自腹を切って打つ事にしたんだ。不幸中の幸いだったのはオッサンが甘デジバラエティコーナーに座ってくれたことだな」
「兄さんバカヅキやな!!」
「・・・でね、一瞬で5千円が無くなるわけ。あまりの回らなさ加減にビビったんだけど、そしたらここでようやくオッサンが・・・」
「おお、オッサンが(゚∀゚)??」
「『ああ、そういえば私が奢るって約束でしたね』って言ってさ、満を持してお金を出すんだよ。とりあえず5千円ずつ渡してきたんだが」
「5千円?それって自腹分の補填?」
「いや、違うだろ。これを使って打てって意味だろうから。でさ、オッサンの金で打ち始めたら今度は速攻で当たるわけさ。投資千円」
「ふむ」
「40連荘」
「 m9(^Д^)プギャー 」
「なんで人の金で打った瞬間に即当たり、大連荘なわけ?サイボーグ009だぜ?65%継続だぜ?おかしいだろっ(´;ω;`)ブワッ!!」
結局甘デジだった事と2Rが多かった事、そしてガッチガチの釘のおかげで40連荘といっても8箱ぐらいしか積めなかったそうだけど、それでも4万近く勝ってしまった魚君。
「いくらでかかりました?」
換金すると、オッサンが聞いてきた。
「え・・・?千円・・・と、自分で最初に打った5千円ですが」
「じゃあ1万円あげます。残りの3万円は下さい」
「・・・・」
当然と言えば当然なのだが、容赦なくお金を回収していく。また、そればかりではなく・・・
「いやー、3万円貰っても1万円ぐらいマイナスですわ。はっはっは!それじゃあ勝った人の奢りでご飯でも行きますか^^」
「はぁっ!?」
魚君はこの後ご飯を奢らされる羽目になり、ビールやら何やらを遠慮なく頼まれ会計は4400円。1万円を貰ったけれど、自腹で打った5千円と奢らされた4400円で残ったのはたったの600円だったそうだ。
「なんなんだろうな・・・あと、千円、あと千円早く当たっていれば・・・」
前日のはしゃぎようが嘘のような落ち込み具合にさすがの僕も掛ける言葉が見当たらな・・
「だからギャンブルは自分の金で打てといつも言ってるのだこのカス豚野郎め!!」
嘘。ここぞとばかりに罵ってやりましたとさ。
ちなみに僕なんですが、三円交換のつもりで打ってた店がなぜか等価で(それぐらい開いていた)、しかも2万発とか出てたので恐ろしいぐらいに換金ギャップで得をしました。実際得をしたわけではないのですが、精神的収支に2万上乗せされた感じです。
対して魚君。物凄くおいしい勝負が出来るはずだったのに、終わってみたら物凄い損をした感覚しか残ってなくて・・・。実際損をしたわけでもないし、やっぱりおいしい勝負だったんでしょうが精神収支は数万円のマイナスでしょう・・・
『どうしてこうなった!?』
まるで童話のように皮肉の利いた、思い違いが生んだ両極端な結末に思わず胸が熱くなる。昨夜の時点で誰がこの展開を予想出来ただろうか。
結果が逆なら暴れてたけど、まだまだ世の中捨てたもんじゃない!
コメント
(´・ω・`)ハラハラ
そんな話についていく魚君が好きですw
変なおーじさん 変なおーじさん
「俺が打とう、お前の金で」
このフレーズを思い出しました。
ウホッ!いい話…
umi君が頑張ってそんな一生懸命店を回ってるところにビックリした
往復で3時間やないか・・・
私は最近めんどくさくて近所でハイエナしかしてない
そんなうまい話は・・・小島先生の「チャンスです!」予告くらい信用なりませんよw
再度の書き込みになるんだけど、華牌2って見てる分には突込みどころ満載で最高に面白いよね!
打ってる人の気持ちはどうなんですかumi先生!?
>>( ・ω・)y-~~~~さん
(`・ω・´) ドキドキ
>>名無しさん
魚君のコミュニケーションスキルは驚く程高いですよ。魚面が愛嬌あっていいのかしら?来月は知り合って間もない女子達とスノボ旅行だそうです・・・ 素直にすげぇ('A`)
>>小島さん
どちらかと言えば保毛尾田保毛男でw
今の時代もうこんなはっちゃけた事出来ないと思うと寂しいなー(´・ω・`)
>>椰子さん
どちらかと言えばモッちゃんの弟(自称)の方でw
>>はちさん
ちなみに食事を奢らされた後執拗に飲みに誘われたらしいですw 魚君ちょっとイラついてたそうなので(当然かw)有無を言わさず帰ったようですが(;^ω^)
>>Gさん
僕こう見えて優良ボッタ店探すためだったら苦労を厭わないタイプですよん♪ 僕はむしろ最近めんどくさいからハイエナしなくなったなぁw
>>パチエルさん
華牌2、初めてまともに打てましたけど、所々笑いを堪えるのに必至でしたwいや、ホント、聞いてた通りでww
ニコ動で少し動画見て前知識はあったものの、小島先生の顔が出る度に噴きそうになりますね^^; なんで小島さんが冬ソナ意識したようにホワイトアウト直前で出る必要あんねんwwwwww
>>Gさん
さすがにプロ完全監修って言うだけあって、闘牌の何切るはほとんど自然でございましたが、反面で実写で出てくる人たちが不自然過ぎて差し引きマイナスwwww もうね、小島先生絡みの演出全般がウケ狙ってるとしか思えないし、そもそもアニメのリーチ演出も打牌で核爆発を起こしたりと色々カオス。
常にどこかしらにツッコミ所があるので打ってて退屈しない良台だと思いました^^エヴァも見習って欲しいですね。
もう見ました ありがとう
いやいやいやいやwwww
俺だったら朝一帰るねw
>>カイジ同人誌さん
もう見ました。ありがとう
>>kenjiさん
そんな得意気に言われましてもね('A`) ・・・