10/28  無知が罪になる前に

仕事中に何やらとんでもないものを見かけた気がして慌ててバケット車を止めた。

見慣れた道に見慣れぬ光景。異変を感じた人がわらわらと集まってくる。急いで現場へと急行した。

道端で爺さんが大の字で倒れていた。

傍には台車が転がっている。

 「大丈夫ですか?」
 「とりあえず救急車は呼びましたが…」

第一発見者らしき人曰く、爺さんは台車を押しながら歩いていてコケたとかなんとか。そこで頭でも打ったのか、意識を失いピクピクしている。というかムニャムニャしている・・・寝てる?ようにも見えるが腕が痙攣しているようにも見えるし、しかし老人ならこれも普通にありそうでよくわからん。

 (確か「はじめの一歩」で、頭を打った後にすぐ寝て鼾をかいたらヤバイみたいな事言ってたような気がするが…)

思えばこうして倒れている人を見る機会なんてほとんどない。年に一度ぐらいパチ屋で倒れる爺さん婆さんは見かけるのだが、基本店員任せだし「そこから先」なんて考えた事すら無かった。だから今回も「ここから先」どうしたらいいかなんて全然わからない。

とりあえず呼吸はしているようなので人工呼吸やら蘇生(AEDやら心臓マッサージ)は必要なさそう…まあ必要だったとしても出来ないのだが。それから、なんだっけ?下手に動かさない方がいいんだっけ?それとも足を台かなんか上の方に上げておいた方が血行的にいいんだっけ?

仰天ニュースやら何やらで見かけたようなそうでないようなあやふやな情報が頭の中を行ったり来たりしてはいるが、どれも確信が持てず動けない。

 「どうしよう…」
 「どうしましょう…」

それはその場にいた5~6名の野次馬達全員に言える事だったらしく、皆何も言わない。下手な事を言えない。その結果の責任を負いたくない。

救急車を呼んだ今、もはや我々に出来るのはただうろたえる事ばかり。爺さんを見守る会の発足である。

やがて爺さんは自ら立ち上がり…

 (えっ!!???)

と、誰もが目を疑ったが、しばらくすると爺さんは何事も無かったように立ち上がり、僕らを一瞥したのち、「大丈夫だから」と言って去っていった。まさか本当に寝ていただけなんじゃ・・・という疑いすら出てきたぐらいだ。そういえば第一発見者らしき人もコケたんじゃ?ぐらいの温度だったような…(;^ω^)

その後近くで仕事をしていた僕らの耳に救急車のサイレン音が入って来る事はなかったのだが、キャンセルしたのだろうか?大事じゃなくて何より。

 

さて、爺さんの無事はこの際知ったことではないのだが、今回このような場面に遭遇して「イザという時のため」に何か知っておくべきかなと強く思った。今回は笑い話で済むようなオチではあったが、例えばこれが目の前で、自分一人しかいない状況で起きたらどうだろう?

明らかに呼吸をしていなそうだったり、そこでの応急処置で生死を分ける場面であったらどうだったろう?そこで知らなかったから仕方ないで済むのだろうか。例え世間が許しても自分の心はそれを許容できるのだろうか。とてつもなく寝覚めの悪い事になってしまわないだろうか?

見知らぬ人ならともかく、身近な大切な人がそうだった場合を考えると無知を呪う前に出来る事がありそうだ。調べると各市町村で定期的に救急法の講習などを行っている。お値段も1500円程度とテキスト代しか取らないようだし、思い立ったが吉日。

知らないじゃ済まされない場面が来る前に…

コメント

  1. kenji より:

    道端で寝てる老人
    たまに居ますね
    起こすと怒られたり
    田舎ってすごい

  2. 三重県人 より:

    都会なら野次馬の誰かがパシャパシャしてSNSに上げて炎上してそう(偏見

    講習体験談の感想待ってます。

  3. より:

    私も昨年の夏、道で倒れてるじいさん発見しました。
    倒れているのに意識ははっきりしていて、かつ横柄な態度でした。

    救急車呼ぶな、家はそこだから運べ

    その一辺倒でしたので、こちらもカチンときて救急車だけ呼んで
    放置しようと思いましたが、流石に車道の真ん中だったので
    端っこまで運びました。

    結論。素人は下手に手を出さずに救急車呼ぶのがベストですな

  4. パチエル より:

    爺さんが倒れる→出目徳が死んで捨てられたシーンを連想

    この思考回路が僕も全く同じなんだが…麻雀狂いの性なのだろうか…w

    こーゆー救命のスキルが資格になったら、流行りそうな気もするけども、使うかどーかわからん講習に1500円は僕は払えないので…

  5. ヨシホイ より:

    車道で大の字に寝てるじいさんいますよねwいつもパックの鬼殺し飲みながらイオンを徘徊し酔いが回ると市立病院の横の車道で寝るおじい思い出した

  6. umi より:

    >>kenjiさん
    道端と言うより道路と駐車場を跨いで寝てたんだよwさすがに田舎でもこれはねーわって思ったが、ピクピクしてたしやっぱ倒れてたんだろうなぁ。

    >>三重県人さん
    あー、確かに。田舎で町内の野次馬が集まった感じなので写真とかはなかったですねー。というか、あの空気で写真は無理だなw僕も結構な野次馬キチガイな方だと自負していますし、事故で写真撮っちゃうんだろうなーと思ってますが…無理なもんは無理ですね(;^ω^)ちょっとだけ安心しましたw

    講習は年内予約一杯だったので、来年…この情熱が生きていれば・・・w

    >>豊丸水さん
    そんだけ意識はっきりしてたら救急車でもいいんでしょうけど、例えば泡噴いてビクンビクンしてたらどないでしょ?AEDとかも音声ガイダンスがあるとは聞いてますが、一度やったかやってないかで全然違うでしょうし…

    しかしそんぐらい横柄なオッサンがいたら僕なら見捨てるかもw照れ隠しだったりするのかもしれませんが、勘弁ですね(‘A`)

    >>パチエルさん
    この漫画の汎用性の高さは異常ですからねw出目徳がすごいんじゃなくてこの漫画がすごいんですw

    講習はむしろ使うかはわからんけど1500円で受けさせてくれるなら!って感じですが感じ方は人それぞれですな(´・ω・`)

    >>ヨシホイさん
    そういうの夜中や早朝真っ暗闇の中轢いても運転者の落ち度ってんだからやってられませんわな(´・ω・`)

タイトルとURLをコピーしました