2/17　　魚君の憂鬱　～ｴﾋﾟｿｰﾄﾞ1～

彼の利根川大先生も仰っておられた

　安定した場所で見ていると、もうそれだけで…、
　しみじみ幸せを感じられる…　と。

偶然だが、今私はその心境にいる。
　　　
この物語は、とある若者の人生が転落すると思われる瞬間にスポットを当てた一切の嘘偽りなき現在進行形で進んでいく実話である。

どうか自分じゃなくてよかった、とセーフティーを感じつつ読んで頂けたら幸いである。
　　　
　　～一匹目　　終わりの始まり～
　　
時は遡り五日前。2月12日の出来事。

　　「俺、今日会社早退するわ。雀荘行こうぜ」

突然、このﾌﾞﾛｸﾞにも度々登場している我が悪友の魚君がこんな事を言い出してきた。

　　「どうした急に？」

俺がこう聞くのは当然である。なぜなら、今まで魚君は模範的な社員として入社以来、無遅刻無欠勤無早退で今日まで生きてきた超が付くほどの優等生であったのだから…　それが、一体どういう風の吹き回しだろう？

　　「いや、そろそろ布石を打っておこうと思ってな…」

　　「・・・！！」

彼の言葉を聞いて俺は一瞬で全てを理解した。

　（・・・こいつっ、マジでやる気だ！）

実はこの魚君、地元ではそこそこ名が知れてる大企業に入社したはいいものの、不平不満が募りに募っていよいよ退社を決意したらしく、数ヶ月前からその類の話しは聞いていたわけで・・。だからここで「布石」という言葉を使ったのにはきっと、『辞める前準備としてまずは優等生ｲﾒｰｼﾞを壊す』という辺りの意味合いが込められているのだろう。全く、ちゃちい男である。

　　「そっか。早退の理由はどうすんの？親戚殺す？」

　　「いや、オヤジに交通事故にあってもらう(￣ー￣)ﾆﾔﾘ」

　　「なんか大袈裟すぎて後で困らない？」

　　「ふふふ、まぁ聞けよ・・・　　俺の練った壮大な策を」
　　　　　
　　「あ、孔明さんどうも」

　　「ｵﾔｼﾞには悪いが、今日の事故で危篤状態になってもらって
　　　入院してもらう。まずはそれで数日稼がせて貰う。」

　　「・・・・・ふむ、なるほど」

　　「・・・・でな、看病でまた数日。その際、介護が必要な状態に
　　　なってもらい、それを理由にちょくちょく休むつもりだ。」

　　「・・・随分先を見越してるな」

　　「・・・・・ああ、完璧だぞ。そして、最終的には退院後は今の
　　　仕事が（水道屋社長）続行できない程の後遺症が残った事
　　　にして、俺が稼業を継ぐ事にする。」

　　「・・・・そしてキサマは綺麗に今の会社を辞める、と。」

　　「そういう事よ　(￣ー￣)ﾆﾔﾘ」

　　「・・・・・・・・

続くっ！！