9/3　　謝罪と賠償を・・・

　　「うみ、猫轢いた？管理人さんから電話来て、周りから苦情来てるから早く片付けてくれって」

２１時を過ぎた頃であろうか。家でNEETのようにボーっとしてると弟から凶報を受けた。

　　（・・・は？マジで言ってんの？・・・え？俺が轢いた？？）

信じられなかった。

今まで猫はおろか一度たりとも何かを轢いた事が無い故断言こそ出来ないが、果たして轢いてしまってそれがわからないなんて事があるのだろうか？ましてや私は常日頃から車は体の一部だと豪語する超うみである。そのスーパーな感覚が轢いた覚えはないと言っている。

猫ほど大きい動物を、しかも駐車場で引いたとなれば低速状態であったのは明白だ。高速ならまだしも低速で轢いてわからないという事があるのだろうか？

　　「それ、本当に俺の車が轢いたのか？」

だからまず責任逃れから入る屑っぷり。

　　「知らないよ。管理人さんがそう言ってんだから」

　　「いやさ、誰かが俺の車の前で轢いたって事もあるじゃん」

　　「ああ、確かにそだね」

　　「そこらへん確認してないの？」

　　「知らないよ。とにかく後で何か言われるのは俺なんだから見てきてよ」

　　「ぐっ・・・」

実は今回の駐車場、名義が弟のモノのためこの愚兄は立場が弱い。車こそ私の物ではあるが、期間工に行く際に弟に貸し与えていて実家にいる今は駐車場共々私がそれを使わせて貰ってる状態なのである。

・・・とまあ、色々言ってはみたが結局誰名義の駐車場であろうが当事者である俺が行かねばならないのは当然か。

　　（・・・・ああああああああ）

しかし正直な話、夜遅くに猫の死体を片付けて来いと言われてはいそうですかとスタコラ行ける人がどれだけいるだろうか？そりゃ確かに轢いた自分が行かなきゃならないのは当然だし、論理的にも人道的にもそうするべきなのはわかっている。わかっているのだが・・・

　怖い！！！怖い怖い怖い。

苦情が来るぐらいである。もう誰が見ても明らかな・・・それこそ内臓が・・血が・・・・ああああああああああああああああああ。

猫には本ッ当に申し訳ないが何とかして何とかしたい。

　　（つーか、管理人ってこういうときのためにいるんじゃないのかよ？）

あまりにも気が進まないため、猫には本当に申し訳ないがこんな事も思ってしまう屑っぷり。が、さすがにこれを言ってしまったら猫が浮かばれ・・・

　　「なぁ管理人は？」

　　「今大阪にいるからそっちで何とかしてくれって」

　　「・・・そっか」

しかし、世間の人達はこういうときどうするのだろうか？覚悟を決めていくのか・・？いや、それしかないよ・・・・あっ！！！

　　「保健所は！？保健所！？」

　　「兄者・・　時間、時間」

　　「・・・ですよね（´・ω・｀）」

万策尽きた。

懐中電灯、大量の袋、それにトングのような物（バーベキューで使う炭とか取るやつ）を持って駐車場へと向かう。

　（はぁ・・）

その足取りの重さたるや、まるで2000ハマリ中の現金投資のようだ。

　（しかし・・やっぱ何かに呪われてんじゃねぇかな俺・・）

道中、猫には本当に申し訳ないがこんな事も思ってしまう。轢かれた猫もそうなんだろうけど、轢いてしまった自分も相当ツイてないと思ってしまう辺りもう末期だ。轢かれて尚責任を押し付けられる猫にしてみたら本当に呪いたくなるような話しだが・・・

　（なんで俺ばっか・・）

しかし言い訳のひとつもさせて欲しい。正直、限界である。今回の件を抜きにして既に限界が来ていたようだ。この数年での不ヅキに次ぐ不ヅキ、そしてトドメとばかりに訪れた先月からの理不尽は私の精神をそれほどまでに蝕んでいたのだ。その矢先のこの事件・・

　（・・・・もう嫌だ）

冗談抜きに涙が出そうだった。

　（・・巻き込んでしまってごめんよ猫）

駐車場に着いた。ぉそるぉそる懐中電灯で車を照らす。

車の前・・・・　いない。　

　　（これで誰かが俺の車の前で轢いちゃったって線は消えたか・・はぁ、やっぱ俺が轢いたのかなぁ・・）

運転席側の前輪周り・・・　　いない。

　　（まぁここにいたらさすがに降りたときに気付くだろうしな・・・）

運転席側の後輪周り・・・・　　　いない。

　　（・・・ふむ、じゃあ逆か・・・）

助手席側の・・・・・・・

　　　　・・・・・・・・いた！！！

助手席側の前輪の後ろに猫が横たわっていた。

　　　　　　　　　_,,..,,_
　　　　　　　　./ ,’ 3　 `ヽｰっ　　　　
　　　　　　　　l　　 ⊃　⌒_つ 　　　　 　　　　
　　　　　 　　 `’ｰ—‐””’"  　

　　（・・・・・綺麗な顔してるだろ・・　死んで・・・る？）

しかし、轢かれたにしちゃあ・・こういっちゃ何だが轢かれたらもっとグロテスクな感じになるもんじゃないのかな？その点、この猫はどう見ても無傷である。そう、まるで寝てるだけのような・・

　　「・・・・・二゛ャ～」

　うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

懐中電灯をかざすと猫は目を覚ました。逆に私が眠りそうになってしまったがなんて事はない、寝てただけのようだ・・・

　　（おいおいおいおい・・・　こんな時間に道具を倉庫から探して暗い夜道をエイコラと心労を抱えながら歩かされ、ありもしない罪を悔い、自分を呪い、そして悔い、遂に覚悟を決め勇気を振り絞って来たというに・・・　ただの勘違いでしただと！？）

　　（＋＾ω＾）・・・ﾌﾟﾁｯ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・
・・・・

・

この街には、ふたつのタイプの人がいる

嘘をつく人と、つかれる人。

　　「よう、だまされたな、管理人さん轢かれた猫がいるといっただろ。あれ、うそなんだ」

　　「・・・・・・・・ふっ」

超うみは微笑んだ。
　　

　　「よかった、轢かれた猫はいないんだ」

深いところに灯がともった。

深く広がるまろやかさ　　～堕落blog～

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　 ／￣＼
　| ^o^　|　＜　　本当は、すぐに管理人に苦情の電話を入れたの
　 ＼＿／　　　　ですが今回は諸事情により黙っておこうと思います