「○○ってお客さん来たら手元に注意して」
マネージャーのそんな書置きに首をかしげるフライデーナイツ。
(手元?何か紛らわしい動作でもしてるのかね?)
普段あまり見かけない類の書置きに一瞬はてなとなるも、この段階ではまだほのぼのとしたもの。手つきがキモイなんて苦情が来るお客さんもいる事だし。それでも、一応主任に聞いてみる。
「なんか、紛らわしいっつーか…そのもの?らしいよ」
「…ッ!??」
驚いた。今日日平成の雀荘でそのもの…つまり、「イカサマ」疑惑が出たというのだ。目撃者は古くからの常連さんで、現在は別の雀荘の店長をやっている信頼の置ける方。他にも複数人が不審を感じていたとわかったそうなので、ほぼ間違いないと思われる…
手順はこうだ。まず山を前に出すフリをして…
…と、麻雀をやらない人には何の事かサッパリかもしれないが、画像のような牌を並べた「山」というものが各人それぞれの前にあり、そこから順番に一枚ずつツモってもは切り、ツモっては切りという動作を繰り返すのが麻雀の基本動作である。
この「山」というのは各自がそれぞれ組み立てている時代もあったが、すると自分に有利な「山」を作ろうと小細工をする輩が出てくる。どこに何を積んだか覚えておけば牌の交換(スリカエ)も可能になるし、そうじゃなくても次に何が来るかわかるだけでも相当有利に事が運ぶ。
パチンコの題材にもなった「哲也」などは、これを基本にした積み込み、スリカエなどのイカサマを駆使して生きてきた玄人(ばいにん)と呼ばれる麻雀を生業にした人々を描いた「麻雀放浪記」という作品を元にしたものであるが、やがてそんな暗黒の時代に終りを告げる画期的な発明が登場する。
全自動卓である。
この全自動卓は「山」を卓内で機械が自動に積んでくれるため、これによりイカサマの頻度がぐっと減った。どこに何が積まれているかわからないのだから、積み込みはもちろん、スリカエにしたってやりようがないのだ。ぐっと減ったどころか、七割方のイカサマを失くしたと言っても過言ではない世紀の発明。
全自動卓の登場以降、麻雀が庶民の遊びとして大層賑わう事になった…らしい。この動きはパチンコが手打ちから自動射出に切り替わったのと同じように、技術介入要素(?)を大幅に減らしたことで敷居を下げたのと似ているかもしれない。
話が少し逸れたが、だからこそ僕は驚いた。
“今日日の雀荘でイカサマの話を聞くことなどまずありえない”のだ。
あってもせいぜい客、または従業員など、人と人とで他人の手牌を見てサインを送る…通称「通し」。若しくは単純においしい牌を鳴かせたりして同卓内で有利に打とうという「コンビ打ち」がやっとだろう。ちなみに以前僕が他の雀荘で半出禁にされたのも、相棒の魚君との間に勝手にこの疑惑を持たれてのことである。
しかし今回、それらとは違うイカサマが問題視されていることが僕の驚きをより一層買った。
話を冒頭に戻そう。手順はこうだ。
山の端に自分の手牌から不要牌を複数牌持って行き…
左手で山の左端に不要牌をくっつけ、同時に山を前に出すフリをしながら右手でくっつけた不用牌と同数の牌を抜いてくるのが「ド頭切り」。(本当にこんな言い方すんのかw?)
逆に右手で不用牌を山に押し付け、左手で同数持ってくるのを「ケツ切り」って言うんだ!
※参考文献 天牌一巻 第三話「ドラ爆18枚積みwwwwww」より
…と、これはあくまでスリカエの方法。
問題のお客さんはこれよりさらに酷い(?)、「握りこみ」というものをやっていたらしい。
握りこみとは左手乃至、右手に牌を複数枚「握りこんで」、例えば二枚握っていたとすれば常時15枚の手牌で好きな組み合わせを作る事。花札で言うところの「吊り」と同じだ。聞けばショボそうな気がするかもしれないが、その効果は想像を絶するほど強力なものとなる。
ちなみに僕は問題のお客さんをまだ見た事がない。比較的新規のお客である事と、時間帯が被っていないからなのだが、実際に見た従業員に聞いてみると「ちょっと先ヅモ気味かなって思ってたけど」ぐらいだそうだ。
発見者の方は、件の客の山が何度かイートン(牌山の上下2牌の1セットのこと)不足しているのを見かけて確信に至ったらしい。元々麻雀にはこの「握りこみ」系のイカサマを防止するために牌山の枚数を合わせるルールがあるのだが、全自動卓もそれは同様。よく見れば不足しているのはわかるが、しかしまさかという思いもありそれが今まで盲点となっていたのだろう。正直自分なら気付けなかったと思うし、さすがは店長をやるぐらいになると違うねと感心させられた。
次回以降、見つけ次第キツイお灸を据えられて方々にブラックリストでも出回るのかもしれないし、卓内での面倒毎は御免だと来店次第それとなく言って予防に走るのかもしれないし…
何にせよ、久々に面白い騒動であった。パチ業界のサクラ派遣といい、案外この手の話は巷に溢れているのかもしれない。
コメント
アルティマ・点棒表示機能のなかった卓も多かった10年くらい前だと点棒を持ち込んで終盤持ち点をごまかすなんて方法もありましたね。
イカサマといえば、以前「むこうぶち」で生臭坊主の赤牌・2sのガン牌のエピソードが面白かったなあw
赤牌が他の牌に比べて色がくすんでたりしてガン牌気味になることは、正直いままで何度かありましたが・・・ギリ系のワザは生で見たことは無いですねw
正直ピンやリャンピンの店で、ワザを使うリスクのが高いと思うのですが・・・
どーせやるんなら、バードみたいな華やかなワザを使って欲しいものです。
何かわからない牌と変えても
四枚ならかなりよくなる可能性が高いですね
にしても握った牌をいつ戻してるんでしょうかね?
海底ずれてたらすぐ気づくだろうに…
こういう客に限って
実際弱いことが多い不思議
弱いから技に頼るのかな?
穏便に済ませたいんなら、お店の人がずる野郎の手をこっそり突っついて、帰りにそとで出禁にするかな。突付かれりゃ、ばれてるって気づくから。
青いメンバーやお客さんが現場押さえちゃったら悶着になりますよ。
早めの対処をお勧めします。
元、街場のメンバ、今、田舎の麻雀屋を営んでおります。
いつも楽しく拝見してます!
フリー暦10年以上ですが、昨年初めて同じ様な事に遭遇しました。
夜中に負けがこんでる状況で多牌して、何故かピンフツモをあがった人がいました。
メンバーが気付いてたみたいでその場で手を開けさせると牌が1枚出てきましたw
そのチョンボで飛び+問答無用でその場で出禁w
同卓してた三人は全員こんな事初めてで滅茶苦茶興奮しましたwwケツ切りは意外とやる人いるみたいですよ!!
なんでわざわざガチ勢ばっかのお店でイカサマやるんや
なかなか興味深い記事ですね
今更読ませてもらいましたが半出禁の話は酷いっすね、僕も昔パチ屋で意味不明の言いがかりをつけられてブチギレて店員を土下座させたことありますが
麻雀知らない僕でもわかりやすかったっす。
>>椰子さん
点棒持ち込むのって10年前にもまだあったんですか!?僕がフリーデビューしたのってちょうどそれくらいだったけど、あの頃まだ点棒表示のない卓とかあったんだ… おそろしや
雅さんの赤と2索ガン牌って元ネタあったんすかねぇw?あの頃のむこうぶちは安さんが毎回絡んでてよかったなぁ。最近出番少なすぎ。
>>パチエルさん
ええ、全くその通り。麻雀で一瞬有利になったとしても後が続かないし、その一瞬で得られるお金のためにここまでするってのが既に凄い… 第一絶対儲かるわけでもないのに。。
もっと高い場でやるための練習場だったりしてww
>>kenjiさん
東風戦だし流局自体少ないし、もし危なかったらフルゼンツで打つなりなんなりして局終わらせにいけばいいんじゃない?ただでさえ和了率アップ状態なんだしw
こういう客に限ってっていうけど、こういう客を見たのが初めてだから何とも言えんわ(;^ω^)あなたは…??
>>roadさん
>青いメンバーやお客さんが現場押さえちゃったら悶着になりますよ。
そうですね、修羅場に遭遇したいのですがさすがに僕じゃこの場面荷が思いなぁ… 店としては穏便にすませたいそうです。
と、なんとroadさんは麻雀屋さんでしたか!!もしかして浜田のドラハウスって店だったりしませんかw?
>>メガネさん
どうも。素晴らしいHNですね^^興奮します。
凄い場面に遭遇しましたね…。しかしそのメンバーも…、対処としては良く無かったように思えます^^;確かにルール違反ですが、何も衆人の前で罪を暴かなくてもいいのになぁ。。
麻雀って卓内の人間はプレイヤーであると同時に審判でもありますからね。卓内から声が上がったのならともかく、周りの人間がまず口を挟む事はよくないと思っています。点数申告にしたってそう…ってまあ、いいか。人それぞれですもんね(;^ω^)でも下手に衆人の前でそんな事して恨み買うってのも馬鹿らしいもんなぁ。そっと出禁にすりゃいいのに。。。
ケツ切り意外にやる人多いってマジすかwww?
>>小島先生
哲也も出目徳とのコンビ打ちの仕上げにはガチ勢の多い店を選んでいます。なんでも玄人の慣わしだそうで。
そういう事なのかもしれませんなw
>>一男太郎さん
…いやぁ、どんな理由があったかは知りませんが、店員に土下座を強要させるのはどうかと思いますが^^;
なかなか興味深いお話です。
メガネかけている上にメガネフェチなんで迷わずこのHNですw
全員常連客の卓で、同卓してた一人も気付いてて、その客が指摘して少し遅れてメンバーと指摘した感じです。元々酒癖が悪くてメンバーや客から総じて嫌われてたので、これが決定打で出禁となりましたww
そういえば、過去のブログを見て漫画やら音楽やらメガネやら嗜好が同じ様に思いますが、「みんな生きてる」って漫画面白いですよ!
>>メガネさん
ああ、それなら全然OKじゃないっすかね^^総スカンを喰らったのであれば万々歳の終わり方でしたねw
「みんな生きてる」って知らないなーって検索したらまさかの原克玄先生の作品じゃないっすかw るみちゃんもかばやし君も大好きだから絶対面白いなこりゃw 探してみます。どうも!