5/2  ただ斬るだけの先

前回提案された新居のプランが妻の要望を95%ぐらい取りこんでいてかなり良かったものの、実際のところまだしっかりと練られたプランを見たのはこの一件だけなので比較対象がなかったりする。

先にも書いたがもう一社のプランは大まかな値段を知るための、営業さんが書いてくれたお試し設計図。この会社でちゃんとした設計士を交えたプランを書いて貰おうとすると、ここから先は仮契約を結んで百万からの契約金を払ってスタートという事になるようだ。

もちろんプランを提示されて合わないなと思ったらそこで契約を解除すればいいわけで、違約金などはかからず必要経費・・・つまりプラン作成料を10万ほど引かれた額が戻ってくるとは説明されたが何かこう・・・、仮にでも「契約」というものを絡めるとなるとちょっとばかし考えてしまう。

 「うちは無料で設計士交えたプラン作成しますよ~(゚∀゚)」

そんな時だ、妻が第三の会社を見つけてきたのは。

新築見学会に行っても特に僕の琴線に触れる事は無かったが、妻が非常にキッチン周りを気に入り構造もそこまで悪く無く、じゃあ試しにプランを作って貰おうかと言う事になった。高い買い物である、やりすぎという事はないだろう。面倒でも比較対象が欲しかったのだ。

 「では来週の日曜にヒアリングをさせてもらいますので、このチェックシートに・・・」
 「あ、実はこういうものを作ってあるんですが」

ヒアリングの前に要望をまとめてシートに記入してきて欲しいという相手に妻は自前の・・相手の用意したシートの五倍ぐらいの厚みの要望書を提出したw これは何ヶ月もハウスメーカーやら工務店を回っているうちに段々と僕らの要望が固まってきていて、妻が考えをまとめるために作ったものだ。

 「あ、すごいですねこれwこれだけまとまってればヒアリングは必要ないですよ」
 「え、じゃあ次回でもうプランを見せて貰えるという事で?」
 「ええ、任せてください!」

こんなやり取りがあったのが三週間前の事。僕はあまり期待していないとは言え他社がどういうプランを出してくるのか興味はあって、妻は妻でそれなりに期待しているようだ。

そうしてGW初日、いよいよプランを見せて貰えることになったのだが・・・

 
 「こんにちわ!設計士の○○です、本日は我々がうみさん宅の新居だけでなく、そこでの暮らし方なども提案させて頂ければと思います」

 (んん??)

最初から何か引っかかっていた。なんだろう、家だけでなく暮らしまで提案・・・という部分なんだろうが、そこまで変な事を言ってる感じはしないが、なぜかすごく引っかかった。言い訳めいているというか、なんだろう、とにかく嫌な予感がした。

 「それではまず、こちらが外観立体図となります」
 「・・・っ!?」

そしてその不安は的中してしまう。

設計士が紙袋から取り出した模型に妻も僕も何かリアクションを取ったわけではないものの、隣同士ですぐにでも顔を見合わせたい気分であった。と言っても模型が相当に奇抜な形をしていたとかそういうんじゃなく、総二階の小奇麗な建物がそこにあっただけなのだが。

・・・余談だが、前回の工務店でも同じような模型を立体図として提示され、まあ綺麗に作るもんだとさすがは模型の世界首都と感心していたのだが、ここで全く同じようなものが出てきたと言う事は、昨今流行り(?)の3Dプリンターなどでこの立体図を作っているのだろうか。そしてそれが建築業界のスタンダートになっているのだろうか。

 (なるほど、確かにわかりやすい。)

しかし今回に限って言えばそのわかりやすさが残酷であったw

 「え・・・と、二階・・なんですね」
 「ええ!せっかく広いお土地があるので、庭や駐車スペースとして活用していく事を提案させてもらいたく・・・」

 「・・・はあ」

事情を知らぬものにはわからぬかもしれないが、妻のテンションが見る見る下がるのが隣で不思議なくらいに見て取れた。よく北斗の拳などでオーラを纏う演出があるが、ちょうどそんな感じで纏っていたものが見る見る消沈していくような、そんな熱量が失せていく感覚・・・

それぐらい、この模型は妻の期待を裏切るものだったのだ。

まず第一に妻が今回新居を建てたい、今のアパートの三階から引っ越したい最大の動機が「デブにゃんを抱えて階段の昇り降りをしたくない」という点である。なので当初から一貫して平屋を望んでいたけれど、色々住宅メーカーを回っているうちに僕や娘の部屋は部分二階にしてもいいのかなと意見が変わった程度で、やはり寝室や自分の小部屋など、自らは一切二階に上がるつもりはないと断言している。当然それは渡した要望書に真っ先に書かれている。

しかし目の前に置かれた模型には、どう見ても二階に寝室があって各々の小部屋があって・・・

 「あの・・・駐車場、四台分もスペースあるんですか(;^ω^)?」
 「ええ、将来的に車は増えると見越しておりますし、来客にも対応できますし!(キリッ」
 「えーっと・・・(;^ω^)」

この駐車場に関しても、妻の要望書にはこう書いてある。

 『車は増やす予定は無いし、もし増えても裏が会社の駐車場なのでそちらに置くつもり。来客にもそれで対応できるし駐車場は一台分あればいい』

以前も書いたが、新居が建つ予定の場所は今現在我が社の社屋が建っている妻の父の土地。こいつを新たに買った隣の土地へと移動させるので空いた場所に我が家を建てようという計画なのだ。

図のように裏が駐車場になっているため実際のところ車の置き場所には困らないのである。それを二台分ならまだしも四台分とかw何がどうしてそうなったのか理解に苦しむ。

そして同様に、この広大な空き地が隣りあっているため遊ぶスペースやら庭的なものもいらないとハッキリ書いてある。なのに設計士は鼻息荒くこう言うのだ、

 「今回の目玉は中庭に設けた大空間ウッドデッキです!そしてこちらもこの家の売りですが、二枚の大きな壁板で中庭を仕切りますので外の視線からは守られますし、バーベキューなど友人を招いてのパーティーも楽しめます!」
 「バーベキュー!?」

・・・ちなみに、基本的に人を招くつもりはないしバーベキューなどもするつもりはないとそこまでキッチリ書いてあるのだが・・・(笑 

堪らず言ってしまった。

僕よりもずっと期待していて、だから今僕よりもずっと落胆しているはずの妻が先に何か言いだすものと思ったが、言わないのか言えないのか、とにかくお茶を濁している感じだったのでここは戦争メーカーである私が行かせてもらった次第。

さすがにこれは戦争をおっ始めていい案件だと思うのだがなぁ・・・

 「失礼ですが、妻が渡した要望書に本当に目を通したんですか?僕らの要望が微塵も取り入れられてないじゃないですか、これは僕らの家ではなくあなた方の建てたい家ですよね」
 「・・・」
 「正直ってこれではお話になりません・・・よ?」
 「・・・?」
 「い、いやその・・・」
 

“お話になりませんよ”と自然と口をついて出たが、なんということだろう。

実はこれは僕の中で人生で言ってみたいキーワード上位のものであった(ちなみに一位を争うのは「大将、いつもの!!」)。偶然というかここしかないというタイミングではあったが、あまりにも滑らかに僕の口から出てきたことに自分自身驚いてしまったw

皆さんは人生で一度でも言った事があるだろうか?面と向かって「お話になりませんよ!」ってw

・・・・と、僕の脳内祝賀会を余所に場の空気は相当に重い。

当然だwありえないくらい僕らの要望が取り入れられてないこのプラン、間違いなく向こうは要望書など読んじゃないだろう。妻がこういう家がいいと、イメージとして色んな家の部分写真を切り抜いて貼ってあるページが要望書の中にあったのだが、ご丁寧にそこだけプリントアウトして持ってきていたようで・・・逆に言うとそこしか見てないんだなと容易にわかってしまう人を舐めきったプランニング提案。

そもそもにして本当に僕らのために書いたプランであったのか、それすら怪しいが・・・

 「すみません・・・私どもの読み込みが甘かったようです。今一度ヒアリングさせて頂いてもよろしいですか」

 「え」

設計士さんが紙と鉛筆を取り出したw

僕は既に帰る気マンマンだったのだが、元々妻が気に入ってやってきた工務店である。ここで喧嘩別れのようになっていいものかは妻の判断に任せるしかないが、どういう判断が下されたのか妻はそのままヒアリングに応じる様子。

 (今さらどんな素晴らしいプラン出されてもここは選ばねぇだろ(;^ω^)?)

それぐらいの事をされたと思うのだ。これから数千万円の買い物をしようという相手に対してあまりにもお粗末な対応・・・なのだが、所詮無料のプラン。損をしたわけでもないのでこんなもんと割り切るしかないのだろうか。

 (いや、それにしても既にGWの半日を潰されているが・・・)

ただ、こういう風に考える事もできる。

無料とは言えここまでしてしまった以上次はないのだ。僕らだけを怒らせて帰すならともかく、昨今SNSなどですぐに悪い噂は広まる時代。マトモな所ならこれから出されるプランは無料の枠を超えた本気の本気のものでなくてはいけないはずである。

(既にマトモじゃない気もするがw、)単に切り捨てる事はいつでも出来るのだ。元々比較対象が欲しかっただけというのもあるし、駄目で元々、もう一度チャンスを与える事は我々にとって得しかないのである。

妻が相手方のそういう心理を見越して敢えてプランを作成させようとしているのであれば中々の策士っぷりである。

 (俺のような戦争仕掛け人では到底思いつかない深い一手だな!)

と、勝手に妄想して感心していたら隣に座っていた営業担当さんがとんでもない一言を発するではないか。

 「やっぱヒアリングはちゃんとしないとダメですね~w」
 「(;^ω^)そ、そうっすね・・・」

やっぱココはねーわと思いつつも、この上がりきったハードルにどう対処するか若干楽しみである。

コメント

  1. ドニート より:

    しょっぱなからいろいろとないですねwww
    冷やかし目的としての参加はありですけどwww
    ある程度まとまって後戻り出来ない所でこういう事にならないとも限りませんしねぇ

    面白がってやってると奥様に怒られたり喧嘩の原因にもなりかねないのではと心配です

  2. 繁忙期の武器屋 より:

    これ、皆さんGUに忙しいフリしてるでしょ?
    特にナルセしかしないヨシホイさん、忙しいフリは良くないですよ?
    ハズキルーペを挿肛して「ハズキルーペすごい!」とか、「ハズキルーペだぁい好き」って言わせるのはやり過ぎだから止めていただきたい。

  3. 三重県人 より:

    ◯千万の商品を扱ってるとは思えない営業の取り組み方ですねw

    そういえば平成最後の日に合わせ万枚でフィニッシュしました(^ν^)
    そして風邪を引きました。

  4. つば九郎(畜生ペンギン) より:

    設計屋さんって全国共通で適当なものなんですかね。こちら東北住みですが、人手不足なのか、期限を守れないくらいには適当なところばっかりですよw

    お話になりませんよってフレーズ、確かに使ったことないないですね。出来れば使わないまま過ごせた方が幸せなのかもしれないですよね笑

  5. 愛知のクマ より:

    その打ち合わせしている業者変えた方がいいっすよ(断定)
    多分、一度空いた溝は埋まらん気がします。
    買うものがデカイだけに慎重なのが必要かと。

    なお、GW中にシゾーカいけませんでした。
    色々聞いたのにすいません(切腹!)
    娘と毎日幸せに過ごす日々が最高でしたわ。
    だからこそ、明日から出社するのが嫌でしょうがない

  6. umi より:

    >>ドニートさん
    初動が全てですよね、もはや不信感は拭いきれませんしプラン見るだけ見て終わりでしょうね。僕はさっさと手を引くべきだと思ってるんですが、妻が一応プランを見たいそうなのでw

    >>武器屋さん
    そっかー、派遣業は長期連休は忙しいですもんね!コメはやっぱ休日書かれないのを見ると、皆会社などで暇な時間に書き込んでるのかなーと予想。ナルセさんはハズキルーペじゃなくてテニスラケットで楽しんでるようですよん♪

    >>三重県人さん
    おー、合わせ万枚羨ましい。そのまま精魂尽き果てた感じですねw

    ただ、元気だったら余勢を駆ってその後寝込んだ期間で万枚溶かしたかもしれないのでバカヅキ続きで風邪を引けたのかもしれませんよw塞翁が馬、大勝ちの結果だけを喜びましょう\(^o^)/

    >>畜生さん
    この設計士さんは山陰地方の方と言ってましたが、遠方より何しに出てきたんだよという感じですw設計士さんがどうこうじゃなく、建築業界がまだまだ緩い感覚の可能性も否定できませんな。

    お話になりませんよってセリフはどうしてもいい場面で使うものではないので、言わない方が確かに幸せでしょうねw

    >>愛知のクマさん
    僕も全く同じ理由でここは切るべきだと思うんですがねwまあ妻の気の済むようにやらせてみます、最後の最期で止めればいいし。多分選ぶ段階まで進む事も無いでしょうしw

    シゾーカ来なかったのは全然気にしないでくださいwむしろ英断でございます!どうしても来たいなら今週末に静岡市でホビーショウやるのでそこにすべきですな!私もデブニャン連れて行ってきます(゚∀゚)

    こちらも娘が懐きすぎて、明日から保育園やるのが心配ですよw出社は・・・心底ダルいっすね(;^ω^) 七月中旬まで祝日が無いってのが耐えられない・・・

  7. kenji より:

    だから私が描きましょうか?w

    構造計算とかはあとからいくらでもどうにでもなるので基本箱型してれば
    今はここに柱がないといけないということは無いので

  8. umi より:

    >>kenjiさん
    あ、結構ですw
    見てみたい気もしますが、最初のところでもうほぼ決まりみたいなプランに仕上がっちゃってるのでお気持ちだけ受け取っておきますわい!

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