12/2　　機を見るに瓶

何だかんだで前回の飲みから少し間が空いてしまったが、ちょうど友人らと都合がついたので久方ぶりに街に出る。

酒は呑んでも飲まれるな。妻の提案する節度ある大人の飲み方こそが昨今のテーマであるが、その前に一つ確かめておかなきゃならないことがある。

　“現在の自分の酒量の限界”

どれだけ飲めば吐いてしまうのか。また、どこまでなら耐えられるのか。いつまでも若いころの感覚ではいられない。どういう条件が重なればぶっ倒れてしまうのか。逆にどういう条件なら明日に残さず帰れるものか…

そう、この翌日残らない酒量を見極める事こそ、サッと飲んでサッと帰る…その「サッと」の明確なラインである。それを知らずして軽く飲むもクソも無い事に今さらながら気付いたのだ。

最近読んでいる小説でこんなくだりがあった。

　「ビールにしますか、酒にしますか」
　「そうだな。どっちでもいい。君のいい方にし給え。僕はビールにしても、酒にしても一本が適量だ」
　「ではビールにしましょう」

他人に迷惑を掛けぬ大人の飲み方、それは自分の限界を知る事から始まる。

そのためにもまずは飲まねばならぬ。飲まねばわからぬ。今はまだ道半ば…吐いたってかまわないのさ。

この日も前回と同じメンツ。僕の酒癖の悪さと尿酸値まで知っている気の置けない幼馴染たちだからこそいろいろと試せる事がある。

この日も思いもよらぬ指摘を受けた。

これまで僕は吐かないために生ビールを飲み続けていたのだが…というのも、前にも書いた通りビールやら焼酎やらウイスキーやらをチャンポンするとほぼ100％の確率で潰れるため、自衛策としてビール縛りをしていたのだが…彼らが言うにはそのビールの飲み方にも問題があるのではないかと。

そういえば、店によっては同じ「生ビール」を頼んでも妙に発泡酒っぽかったり変な味がしたりと、せっかくチャンポンを避けているにも関わらず、一軒目と二軒目で味が違いすぎて具合が悪くなるなんてケースも過去にはあった。というか前回が正しくそうだった。

今回、飲むペースを抑える事は当然として…　食前に気休めながらも「ウコンの力」を飲んで胃にバリアを張り（）、飲んだものはビールと水だけ。チャンポンはしていないものの、2軒行ったので一軒目と二軒目でビールの種類が違うと言う問題はあったかもしれないが、それにしたってあれだけ吐くのは解せない。

　＊前回の飲み会の記事より参照

しかし瓶ビールならこの問題は解決するはずだ。どこで飲もうが絶対に同じ品質が保証されている究極の条件戦。これだ！これしかない！！

というわけでこの日は瓶ビール縛りプレイを敢行する事に。

ここで大事なのはチビチビと守りに入る事ではない。このチャンポンの心配がない状況で純粋に瓶ビールだけで自分がどれだけやれるか、その限界を見極める事こそが肝要である。

攻めの瓶ビールだぜ！

コロナ禍において飲み会が激減してもうすぐ二年が経つ。

飲みに誘いたい人はたくさんいるのだが、久しぶりに飲んで自分を抑えられる自信が無い。それはそれで酒席の楽しみの一つではあるが、絶対迷惑をかけてしまいそうで…　

相手だって飲んだ帰りに僕が凍死してたら寝覚めが悪かろうよ。

もう子供じゃない。それどころか守るべき家族だっている。河原で寝て許される立場では無いのは重々承知。

綺麗に飲めるようになるその日が来るまで、僕の酒実験は終わらな…

…瓶縛りプレイ、いいかもしれない。

この日は瓶ビールを五本ぐらい飲んだのだが、これは前回とほぼ同じぐらいの量。それでも当日もホロ酔い程度で、翌日もまるで酒など残っておらず…

だがまあ、たまたま体調が良かっただけの可能性もあるしな。