1/5　　犬は棒、俺が歩けば…

昨年の正月の記憶があまりにもなくて不思議だったのだが、そうか、考えてみたらコロナで一家全員軟禁状態であったのか。おせちも初詣の記憶がないのも当然だ。

そんなわけで珍しく一家で散歩がてら大きな神社に行ってみたのだが、おみくじの小吉と吉ってどっちがランクが上なんでしたっけ？

どのみちあんまり良くはなさそうだがｗ

そんな事を考えていた帰り道、参拝客でごった返す列の脇を通り過ぎると…前を歩く人がベビーカーに乗せられた犬の前で「痛っ！」と手を振り払うような動作をしたのが目に入った。

ちょうど手の高さが犬の顔の前に来る配置で、噛まれたのかしらと思いつつ、その場に立ち止まり怪訝そうな顔で睨みつけるオッサンとまだ気付いていない様子の飼い主を見守る。パッと見では特に血が出ている様子もないのだが、果たしてどうな

考える間もなく、まさかの怒号が飛び交ったｗ

ワンテンポ置いて怒鳴り散らす様はまるで輩のそれであるが、よくもこの群衆の中で恥ずかしくないものだ。

ここでもまだ飼い主さんはこの怒号が自らに向けられているとは露知らず…　

家族客で賑わう神社の一角に場違いな怒号、瞬く間に周囲は凍りついた。未だ状況を把握していない様子の飼い主さんは薄ら笑いを浮かべながら困り果てている。

確かに妻に言われてみると困ってしまう。

恐らくこの中で唯一人、一部始終を目撃していた身としては間に割って入るべきかなとも思ったのだが…よくよく考えるとどちらの味方もしたくないな、とｗ

怒り方はともかくとして、被害者のオッサンの言い分は概ね正しい。正しいがここまで怒鳴ることはないだろうよ。

加害者側も完全にペットの管理責任が問われるものの、傷を見てもちょっとした噛み跡があるかないかという感じで血も出ていないようだし、そこまで大声で怒鳴らなくても…という気持ちもわかる。わかるけど初動で完全にミスっているな。ニヤニヤしながらすみませんじゃそりゃ怒るよ。即座にしっかりした謝罪に移っていればもう少し違った展開になったはず。

今のところ6：4で被害者側を持ちたいなと思っていたのだけれど…

ここで思わず吹き出してしまった。

今日日日本の飼い犬に噛まれて狂犬病になぞなるはずもないという思いと、そんな輩みたいな振る舞いでちゃんと狂犬病って知ってんだという二重のどよめき。

そして飼い主がワクチン証明証を持ってたので即座に提示していたが、そうじゃねえだろうと。それも大事だけどもっと他に言う事あるだろうと… すべてが絶妙に面白い。

その後どうなったかは知らないが、眼の前に交番があるので何とかなっただろう。

 『犬に噛まれた　慰謝料』

そして後日気になって調べたのだが、一応心配なら噛まれた際に狂犬病ワクチンは打ったほうがいいらしい。そういう諸々含めて犬に噛まれた際の慰謝料はウン万円にも昇るらしく、これはちょっと自分の認識が浅はかであったなと、興味本位で首を突っ込まなくて良かったと思い知らされた元旦の出来事。

新年早々ひとつ勉強になったはいいが、うちも猫を飼ってる以上気をつけなきゃなぁ。いや、子供にしたってそうだ。…広義で言えば会社にしてもそうか。もう少し「責任者」としての知識と自覚を持たないと、今にとんでもない目に遭いそうだ。